真空管ラジオ初心者の方へ


(続)真空管ラジオ修復記 > 真空管ラジオ初心者の方へ

真空管ラジオの初心者の方から、同じ様な質問が多いので、Q&A形式でここにまとめました。ラジオの用語はこちら。ラジオの歴史はこちら。ラジオの修理を依頼される方はこちら

Q1.真空管とは何ですか?
A1.トランジスターの前身で、昔に使われていた増幅作用がある主にガラスでできた素子です。詳しくはこちらこちら

Q2.電源スイッチを入れてもすぐに音が出ません。故障でしょうか?
A2.真空管には直熱管と傍熱管があり、一般的な傍熱管は、ヒーターでカソードが熱せられるまで時間がかかるため、十数秒たってからでないと、音は出来ません。一方、直熱管はすぐに動作します。

Q3.ブーンというハム音が、スピーカーから聞こえて気になります。故障でしょうか?
A3.真空管ラジオのほとんどは交流電源を用いているので、ある程度のハム音は出ますが、あまり大きい様でしたら電源の平滑回路のケミコンの容量抜けなども考えられます。

Q4.トランスレスラジオって、何ですか?
A4.電源回路に電源トランスを用いないタイプのラジオです。主に戦時中の放送局型受信機と、昭和30年代後半の小型プラスチックキャビネットのラジオなどがトランスレスラジオです。小型軽量化と、価格を抑える意味で有利ですが、一方シャーシーに触ると感電の恐れがあるので、注意が必要です。戦時中は、金属資源を消費しない目的で生産されました。

Q5.トランスレスラジオのパイロットランプは、電源を入れた瞬間に一瞬明るくなり、すぐに暗くなり、徐々に明るくなります。故障でしょうか?
A5.トランスレスラジオは、電源トランスが無いため、パイロットランプはヒーター回路から電流を分けてもらって点灯していますので、回路の特性上この様な光り方になります。

Q6.放送が聞こえているのに、同調指示のマジックアイが閉じません。故障でしょうか?
A6.全ての放送局で閉じないのは、マジックアイのプレートの負荷抵抗の断線が考えられますが、閉じる放送局もある場合は、電波が弱い場合があります。アンテナを伸ばして試してください。

Q7.自分で真空管ラジオを修理したいのですが、どうしたら良いでしょうか?自分でもできますか?
A7.こちらを参照ください。修理の際はご自分の力量と責任で実施してください。こちらもお読みください。

Q8.5球スーパーラジオって何ですか?(”5球”であり、”5級”ではない
A8.真空管を5本使ったスーパーヘテロダイン方式のラジオで、受信した電波の周波数を一度変換する回路です。感度や分離に有利で、主に戦後のラジオは全てこの方式です。

Q9.スーパーラジオ以外には、どんなラジオがありますか?
A9.ストレートラジオと言われる、周波数変換しない方式があります。主に戦前のラジオで、並三・並四・高一ラジオなどと呼ばれたラジオです。これらのラジオは再生調整ツマミが付いており、独特の操作が必要です。

Q10.真空管ラジオにPU(PH)切り替えやPU(PH)端子が付いていますが、これは何ですか?
A10.PUとはピックアップ(PHとはフォノ)の事で、真空管ラジオにターンテーブル(レコードプレーヤー)を繋げて、ラジオをアンプとして動作させ、レコード盤を再生する機能ですが、カードリッジのイコラーザーの違いから、現在のプレイヤーは接続出来ません。また、ここにiPodなどを接続する事もできますが、工夫が必要です。

Q11.真空管ラジオに、アンテナとアースは必要ですか?
A11.戦前のラジオなどは、感度が悪く放送局の電波も弱かったので、標準アンテナ(高さ8m、長さ12m程度)とアースを接続する事が前提で設計されていましたが、現在は放送局の電波も強いので、そんな長いアンテナは必要ないです。しかし鉄筋コンクリートなどの建物では、電波の入りが悪いので、窓の外にアンテナを伸ばすなど工夫が必要です。アンテナは、アンテナ端子(A)と記載がある所か、ラジオから直接アンテナ線が出ている場合がありますので、そこに接続してください。アースはほとんどの場合、不要です。

Q12.戦前のラジオなどで、アンテナ端子にA1・A2や、AL・ASなどと記載がありますが、これは何ですか?
A12.アンテナコイルの一次側タップの選択端子です。外部アンテナの長さや電波の強さの状況を見て、感度優先か分離優先かの接続です。どちらでも聞き易い方に接続してください。一般的に長いアンテナの場合はA2かALの端子(分離優先)に、短いアンテナの場合はA1かAS端子(感度優先)に接続します。

Q13.音量調整のボリュームを回すと、スピーカーからガリガリ大きな音がします。このままだとラジオ本体にダメージを与えますか?
A13.可変抵抗器の接触不良で、通称ガリと呼ばれる現象です。古い真空管ラジオでは、よく起こります。すぐにダメージを与えるとは思いませんが使用上不便だと思います。ボリューム部分に接点復活剤を塗ると改善しますが、すぐに不良となる事もあるので、可変抵抗器を交換した方が良いでしょう。

Q14.真空管ラジオをしばらく使用しているうちに、音が小さくなった気がします。故障でしょうか?
A14.故障というより、真空管の劣化です。真空管は消耗品で、使っているうちに弱くなって音も小さくなってきます。真空管を交換してみてください。

Q15.真空管ラジオを組み立ててみたいのですが、キットは入手できますか?
A15.札幌のラジオ少年などでも入手が可能ですし、自分で部品を集めて製作する事もできます。キットも各社で販売されています。チャレンジしてみてください。

Q16.真空管ラジオを安全に楽しみたいのですが、注意する事は?
A16.真空管ラジオは製造から50年以上経過しています。音が出るからといって、そのまま使わずに必ず修理&点検を実施してください。最低限コンデンサー類の交換と、ヒューズが適切な値(1A以下)か、確認してください。ヒューズは電圧切り替えで複数取り付けが出来る様になってますが、1本だけ取り付けてください。

Q17.真空管は今でも入手できますか?
A17.ラジオ用真空管なら、中古ですが今でも入手できますが、戦前のラジオ用は結構高いです。僕の所にも約2,000本の在庫があります。mT管なら新品でも格安で入手できますが、ST管やGT管は新品はほとんど見かけないです。マジックアイの新品は高価で貴重ですが、僕の所には在庫が多数あります。

Q18.真空管ラジオはどこで入手できますか?
A18.一番簡単なのは、オークションですが、骨董市などを捜すのも楽しいでしょうね。初心者の方はツマミなどの欠品がなく、改造されていないmT管ラジオから入門するのがお勧めです。

Q19.戦前のラジオですが、ピューピュー音がして、うまく受信出来ません。何が問題でしょうか?
A19.それは再生調整がうまく出来ていないのが原因です。再生調整方法を習得してください。

Q20.スピーカーから雑音が聞こえます。原因は何でしょうか?
A19.雑音には2種類あります。1つはハム音と呼ばれる電源周波数の50/60Hzまたは、その倍の100/120Hzのいわゆるブーンという音です。これは真空管ラジオがAC電源によって動作している事に原因があり、ケミコンやチョークコイルなどの追加により、ある程度軽減ができます。もう一つは外部に雑音の発生源がある、ジーとかザーとかヒュルヒュルとかの高い周波数の音です。これは外部にノイズの発生源があり、主にスイッチング電源が原因である事が多いです。現在は身の回りにスイッチング電源が多数存在し、我々の周りはノイズだらけです。特に質の悪い中国製などのスイッチングACアダプターなどは、雑音をまき散らしています。一つずつ電源を抜いて、どの電源がノイズを出しているか確認し、原因を対策してください。

なお、このページに記載している事に関するこれ以上の質問はご遠慮ください。

ラジオの年代は、ラジオ歴史館をご参照ください。
不明なラジオの用語は、新ラジオ用語辞典を参照ください。
ラジオ放送の歴史は、日本電気公論社様の、ラジオの昭和史をご参照ください。
戦前の写真や広告などは、ごちゃまぜ歴史写真をご参照ください。
太平洋戦争開戦時の臨時ニュース音声一部はこちらです。是非お聴きください。!
終戦を告げた昭和天皇の玉音放送音声全文はこちらです。是非お聞きください!
戦後からの、昭和の懐かしい物品などは、昭和レトロコレクター天国をご参照ください!
ラジオのメーカー別一覧は、メーカー別インデックスをご参照ください!
今でも見られる懐かしい物は、写真で見る昭和の時代をご参照ください!
真空管ラジオを私に修理依頼される方は、こちらをお読みください。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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