放送局型受信機


(続)真空管ラジオ修復記 > 放送局型受信機

「放送局型受信機」ってご存じでしょうか?昭和10年代後半を代表するラジオです。戦時中に資材の節約と、優良なラジオを適正な価格で提供するという目的で、日本放送協会(現NHK)がラジオの回路や外観や価格を規定し、各メーカーに制定した、規格統一されたラジオ受信機です。NHK放送博物館に行くと、この放送局形受信機が展示されています。「放送局型受信機」って名前も、変な感じですね?「放送局型受信機」には、1号・3号・11号・122号・123号が有った見たいですが、このページでは、この「放送局型受信機」の一部を紹介します。


NHK放送博物館3階のラジオ展示スペースです。今回はたまたま企画展示でこの様な展示をしていました。この他にも常設展示として、2階にもラジオの展示があります。

放送局型第3号受信機

中電界地域用1938(昭和13)年1月18日制定
使用真空管:UZ−58(高周波増幅)、UZ−57(再生検波)、UY−47B(電力増幅)、KX−12F(整流)
回路図
この放送局型第3号受信機は、放送局型第1号受信機と共に制定されたみたいですが、実際はほとんど製作されす、現在は見かける事はほとんどありません。

放送局型第11号受信機

弱電界地域用1939(昭和14)年2月19日制定
使用真空管:UZ−57(再生検波)、UY−47B(電力増幅)、KX−12F(整流)
回路図
僕が直した放送局型第11号の修復記
この放送局型第11号受信機は、実質的に量産された初めての放送局型ラジオで、現在でもオークションにたまに出てきます。このラジオはトランス付きです。

放送局型第122号受信機

弱電界地域用1940(昭和15)年10月31日制定
使用真空管:12Y−R1(再生検波)、12Z−P1(電力増幅)、24Z−K2(整流)、B−49(安定抵抗管)
回路図
僕が組み立てた放送局型第122号もどきの製作記
この放送局型第122号受信機は、戦争が激しくなって金属が不足しているので、トランスレス仕様となったラジオです。シャーシーに触れると感電する別名感電型ラジオと呼ばれています。

放送局型第123号受信機

微電界地域用1940(昭和15)年10月31日制定
使用真空管:12Y−V1(高周波増幅)、12Y−R1(再生検波)、12Z−P1(電力増幅)、24Z−K2(整流)、B−37(安定抵抗管)
回路図
僕が直した放送局型第123号の修復記その1
僕が直した放送局型第123号の修復記その2
僕が直した放送局型第123号の修復記その3
僕が直した放送局型第123号の修復記その4
このラジオの音
この放送局型第123号受信機は、感度が良かったのでたくさん作られたみたいで、現在でも大変良く見かけます。122号と同じくトランスレスなんで、シャーシーに触れると感電します。またこの123号は、資材を節約する為に一度仕様が変更になり、変更後の回路は真空管に無理が掛かり、よく故障するラジオとして有名だったみたいです。現在ではよく故障するラジオが売れるなんで、考えられませんね。現在ならリコール物ですね!また、終戦間近になるとキャビネットの材質が悪く、現存する物は、虫食いが見られたりします。

戦時中に国の統制力が強まり、放送局がラジオの回路まで制定し、各ラジオメーカーの自由まで奪われていた時代。そんな暗い時代に製造され、空襲警報を受信し、戦火をまぬがれ、玉音放送を再生したと思われるこれらのラジオ。思いは複雑ですね・・・。僕も今、123号のラジオの音を聞いて、当時の事を考えてます。さあ、「放送局型受信機」の音を聞いてみませんか?たまにオークションにも出品されていますね!


NHK放送博物館には、開局時のラジオの送信機も展示されています。USA製で、送信出力は200Wでした。内部を見ると、巨大送信用の真空管が数本見られました。開局当時は1日5時間の放送だった見たいです。今では考えられませんね。


開局当時のポスターでしょうか・・・?ラッパ型のスピーカーがいいですね!

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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