日本精器「放送局型第123号」修復記その4
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修理を依頼された、日本精器(CROWN)の「放送局型第123号」 の修復をして見ました。
修復前の様子。戦時中の有名なラジオが修理にやって来た。使用真空管は、12Y−V1(高周波増幅)、12Y−R1(再生検波)、12Z−P1(電力増幅)、24Z−K2(整流)、B−37(安定抵抗管)である。戦火をくぐり抜けて、玉音放送を受信したラジオである。
修復前の内部様子。キャビネットに虫食いもなく、状態は良いみたいだ。残念ながら、安定抵抗管のB−37が欠品だったが、別途用意してもらった。電源スイッチはキャビネット横に付いておらず、音量調整ボリュームと兼用である。
修復前のシャーシー上部の様子。コイルがシールドケースの中に入っている初期型のシャーシーの様だ。年代を考えると、大変綺麗な状態である。
銘板もご覧の通り綺麗に残っている。
放送局型認定のマークもキャビネットに残っている。
マグネチックスピーカーのコイルは、導通があった。
この局型受信機は、ケミコンが弱くよく故障したらしく、この受信機も外付けでケミコンが追加されていた。
ダイアルメモリもご覧のとおり。
修復前のシャーシー内部の様子。部品が所狭しと実装されている。
全ての配線をやり直すために、部品を取り外したところ。すっきりしました。洗浄して配線に取りかかります。
安定抵抗管をコンデンサーで代用したいとの事で、50Hz用に6.2μFのコンデンサーを、60Hz用に5.1μFのコンデンサーを、それぞれUXベースに組み込みました。大容量のフィルムコンデンサーは、結構高価です。
シャーシーを洗浄し、とりあえずヒーターの配線のみ完成しました。接続順は正規の配線にしてあります。通電チェックして、ヒーターの点火を確認しました。
ここで重大な問題が起きました。音量調整用の可変抵抗器ですが、付属していたのは抵抗値が2KΩで真ん中の摺動子部分がアースに接続されている特殊なボリュームが付いていた。どおりで動作確認時に音量調整が出来なかった訳だ。本来は10KΩCのボリュームが付属すべきであるが、現在では入手できないので、仕方なく10KΩBのスイッチ付きと交換する事とする。これを使うと回した角度と音量が多少スムーズではありませんが、仕方がないです。それにしてもこれで動作していたのであろうか・・・?
電気配線が完了したところ。全ての配線をやり直しましたので、安心です。部品も小型化しており、すっきりしております。
マグネチックスピーカーはコーン紙の破れもなく、コイルの断線もなくこのまま使用する事とします。
修復が完了したところ。調子よく鳴ってくれる。玉音放送を再生したと思われるラジオ、大切に末永くお使いください!
以上、交換部品代は約6,500円、修復作業時間は約14時間でした。
過去にこのラジオと同型のラジオを修理した経験があります。詳しくはこちらとこちらとこちら。
誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!
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