マグネチックスピーカーの巻き直しについて


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戦前のマグネチックスピーカーは、半数近くが断線しています。これは当時のエナメル線の材質が悪く、電蝕作用によって、コイルが断線するからです。切れたコイルは巻き直しが必要です。ここでは巻き直し方を説明します。


コイルの切れたマグネチックスピーカーです。コーン紙は破れもなく、良好です。このスピーカーは、玉音放送を再生したのでしょうかねぇ?なお、コーン紙が激しく破けている場合は、秋葉原ラジオセンター2階の内田ラジオさんで換えコーン紙が有るらしいのですが、倉庫の中から出てこないので、現在品切れだそうです。今はその内田ラジオさん自体が無くなってしまいました・・・。残念です!僕も、やっと2枚手に入れる事が出来ました。


戦時中のマグネチックスピーカーは、金属資源節約のため、フレームは紙を硫黄で固めた物が使用されています。そこまで切迫した状況だったのですね・・・。


まずコイルのリード線の半田を外します。


次にコイルの中央の振動する部分と、コーン紙を繋ぐ部分の針金を半田を外して取ります。写真が見にくくて申し訳ありませんです。


U字型の磁石の間隔を広げるために、5mm×20mmの六角ビスナットを磁石の間に挟んで間を広げます。普通のプラスネジだと、ビスの頭が丸くなっているのでダメです。頭が平らな六角ボルトを使います。ちょうど磁石の間隔にぴったりの長さですね。


コイル部分を横に滑らせると、コイルと上側の金具が一緒に外れます。


コイルの下側の金具は固定されているため、外れません。


外したコイルは、0.1mmのUEW(ウレタン被覆線)で巻き直します。3,000〜3,500回程巻きます。この太さなら、巻線器で巻けます。長さにして150m位ですかね。巻いた後の直流抵抗は約500Ωです。0gのUEWは秋葉原ラジオデパート向かいのオヤイデで700円程度で売っています。50gでちょうど3個分のコイルが巻けます。写真のUEWは300g巻きです。0.1mmの線はとても切れ易いし、ある程度きつく巻かないとぶかぶかになるのでとっても緊張します。しかし本当のコイルは、0.08mmの線を5,000回も巻いてあります。この時はとても切れやすいので、手で巻くしかありません。巻いた後の直流抵抗は約1KΩです。コイルは引き出し線部分は0.8mm程度の太い線を使い、内部で半田付けして接続してから密に巻きます。慣れるとだいたい4時間程度で巻けると思いますが、連続して巻けるのは1時間程度でしょうか?肩が凝る作業なんで、あまり続けてはできません!0.1mmの線は髪の毛みたいに細くてすぐに切れてしまいます!!!切れたら最初から巻き直しです。ご愁傷様!コイルを巻く時は、100回毎に正の字を書いて、巻き数を数えます。もし、0.1mmの線を3,500回も巻く自信が無い方は、0.3mmのUEWを200〜300回巻いて、出力トランスの8Ωの端子に接続して鳴らす事も出来ます。通常のマグネチックスピーカーは、インピーダンスが10KΩ前後なんで、現代のスピーカー端子に接続しても綺麗な音は出ませんが、こうするとインピーダンスが8Ω程度になるので、現代の低インピーダンスのスピーカー端子に接続できますが、僕はやった事はありません。最近は、ラジオ少年様にで販売している巻線器を入手したので、コイルを巻くのも手で巻くよりもかなり楽になりました。僕も、もうかなりの数のコイルを巻き直しましたが、やりたくない作業です!


巻き直したコイルと、磁石を広げる為の5mm×20mmの六角ビスナットです。このビスナットが入手出来ない方は、送料のみで差し上げます。巻き終えたコイルはビニールテープを巻いて引き出し線を取り出します。念のため、テスターでコイルの導通を測っておきましょう。0.1mmで巻いた時は、だいたい500Ω程度であればOKです。0.08mmで巻いた時は、約1KΩです。ご苦労様でした!


コイルを元通りにセットします。この時コイル中央の振動板が片方に寄らない様に気を付けながら針金を半田付けします。振動金具の間に厚紙を差し込んで半田付けを行うと、うまく出来ます。最後にフレームや磁石部分もネズミ色に再塗装して、綺麗に仕上がりました。これでマグネチックスピーカー独特の音を響かせてくれる事でしょう・・・。なお、コイルを巻き直す自信がない方は、交換コイルが秋葉原ラジオデパート2階の桜屋映音商会で、3,500円程度で売っていましたが、現在はお店が変わってネット上で通信販売のみ扱っているそうですので不明です。ばざーらでは、巻き直しは5,000円だそうです。

ご質問がございましたら、メールフォームにてお問い合わせください。

実際のマグネチックスピーカーの音を聴いて見たい方はこちらへ。


その後、このページを参考に、マグネチックスピーカーの巻き直しを実施された方から、報告を頂きましたので、ご紹介します。(文章はその方が記載されたまま、掲載させて頂きました。ご報告頂き、誠にありがとうございました!


コイルを手巻きでやってみました。線は電電の黒電話のベルのコイル(殆んど同じ太さ)を、ほどきながら巻きました。巻数は途中で雑念が入ってわからなくなったのでボビンほぼ一杯に巻きました。コーンは焼けた襖の紙のようで、チョット触れただけでパリパリ割れてしまいます。そこで透明のスプレーの塗料をシューっと、吹付け補強してみました。気になる音質ですが、マグネSPの独特の乾いた音ではなく、ややこもった音になってしまいました。


コーン紙は薄い黒です。表面は亀裂が一面に入っていてチョット触れただけでもパリパリとはがれます。今は透明のスプレー塗料を両面に吹付けましたので安心です。ちなみに組み立てた状態でLCRメーターで計ってみましたがLは2H、直流抵抗は1.2KΩでした。


その後、コイルボビンやアマチュアーが欠品だったマグネチックスピーカーを修復された方から報告を頂きましたので、ご紹介させて頂きます。
以下、その方からの文章をそのまま掲載します。


馬蹄磁石に接しているコの字金具はホームセンターで見つけたキャスターの金具が寸法的に近かったので、これを切って使いました。


アーマチュアを支える金具(ギャップのつっかえになる金具)はt1mmの鉄板をまげて作りました。


アーマチュアはt0.5の鉄板で作りました。アーマチュアの支線は1.5Dのセミフレキ同軸の中心線(φ0.51銅被せ鋼線)を使ってみました。


ギャップはネットの写真を参考に2.7mmにしてみました。コイル巻き枠はt0.8のバルカンファイバーをエポキシ接着剤で貼り合わせて作りました。筒の部分はファイバーを加熱して丸めました。コイルφ0.26のUEWを530回巻きで高周波ワニス仕上げで直流抵抗11オームでした。


鳴らしてみましたが、手持ちの現代のダイナミックスピーカより大分感度が低かったです。アーマチュアの厚さ、材質、支線の硬さ、ギャップの広さなどカットアンドトライが必要だと思いました。またやる気の起こったときに改良してみたいと思います。


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