ナショナル「BL−280」修復記その2


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその5 > ナショナル「BL−280」修復記その2

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「BL−280」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、6BE6(周波数変換)、6BA6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、6X4(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。このラジオは、PU切り替えが電源スイッチ兼用となっている珍しい設計だ。


修復前の内部様子。所々埃が積もっている。一応鳴っていたが、10分程すると音がしなくなるとの事でした。


マジックアイは、ご覧の様に全く光らず。マジックアイがこんなに光らなくなるまで使われたという事は、他の真空管もかなり劣化しているかもしれない・・・。これは新品に交換する事とする。


予想通り出力管の6AR5は、頭のゲッターが完全に失われている。音が出なくなった原因は、この真空管の劣化が原因であろう。真空管試験器TV−7/Uにてgmを計測したところ、何故かこの6AR5は合格値であったが、他の真空管は予想通り全て破棄値以下であった。測定値では合格でもゲッターが無いこの6AR5も含めて、全ての真空管を中古良品に交換する事とする。


修復前のシャーシー上部の様子。埃が積もって、かなり汚い。ナショナルラジオ特有の、豆球の配線がボロボロであるので交換が必要である。


修復前のシャーシー内部の様子。オリジナルで修理やレストアの痕跡はない。信頼性の低いペーパーコンデンサーもそのままである。この状態で使われていたのは、かなり危険な状態であった。レストアに来て、本当に良かったです。真空管ラジオは、鳴るといっても危険な状態である事が多いです。必ず点検しましょう!


埃がたくさん溜まっていた前面のプラスチックパネルは、洗浄し綺麗さっぱりになりました。


修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーを交換しました。ブロック型ケミコンは、漏洩電流を計測したところ、流れすぎて危険な状態だったので、交換しました。電源コードやアンテナ線も交換しました。ガリが有ったというボリュームも交換しました。1次側の巻き線の断線が心配な出力トランスは、こんなに真空管が劣化するまで使われても断線していなかったので、このままでも大丈夫と思い、交換しない事にしました。シャーシー後ろ側にマジックアイの消灯用のスイッチを取り付けました。普段は消灯して、輝度の低下を防止して大切にお使いください。


修復が完了したところ。各種試験&調整を実施後、1時間程度テストしたが問題が無さそうなので、完了とする。ボリュームのガリも無く、ガンガンなってくれる。真空管の光と共に、柔らかな音をお楽しみください。


真空管AM送信機も希望との事で、以前製作したトランスミッターもお送りしました。

以上修復作業時間は約8時間、交換部品代は約8,600円でした。

このラジオは、以前に同型を修理した経験があります。詳しくはこちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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