「中波帯送信機」開発プロジェクト


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いつもお世話になっている東京都の奥泉様が開発された、「単球中波帯送信機」をご紹介します。
(コメントはご本人の文章に、若干追加して掲載してあります)


これが外観写真です。6W−C5を使用した単球送信機です。ポイントは、LC発振ではなく水晶発振(FT−243型の水晶片1525KHzを使用)にしたところです。


内部の様子です。この送信機にCDプレーヤーの出力を6W−C5の第3グリッドに接続し、グリッド変調をかけています。ラジオからとても良い音質で聞こえます。回路図はこちらです。


今回、6SA7-GTで単球送信機を製作してみました。回路は、6WC5の時と殆ど変わっていませんが、若干ですが下記の2点を変更しています。


【変更1】水晶G2側に0.001μFを挿入しました。以前は水晶にこのDCカットのコンデンサがなかったのでDC約100Vがまともにかかってました。
【変更2】音声入力のG3にST-14(1kΩ:500kΩ)のトランスを入れました。CDプレーヤーとの整合の為です。メモリープレーヤーの場合は、更にST-81(8Ω:1kΩ)を介して入力しています。これで音声レベルは十分確保できました。ただ、トランスの周波数特性のせいかわかりませんが、高域が落ちる感じです。
今回は水晶にラジオ少年さんから購入した1MHzを使用しました。150円ならお財布も安心です。改造後の回路図はこちら

以上、東京都の奥泉様の作品をご紹介しました。これを使用すると、真空管ラジオからお気に入りの音楽を聴く事が出来ますのでおもしろいと思います。僕も暇を見て作ってみたいと思います。水晶振動子は1MHzなら入手できますね。ラジオ少年様で電源トランス(T−1V)や、真空管(6BE6)、水晶振動子(1MHz、HC−6U)など格安で入手できます。水晶も、1MHzの他に455KHzのセラフィルがあれば、ラジオの修理には便利なテストオシレータになりますね。お世話になっている岡村屋様の、ラジオタイムマシンなんかにも応用できそうです?こちらは、送信機にも真空管を使っているのがポイントです。マイクロフォンの音声を送信したい場合は、マイクアンプを使用して入力してください。回路図はこちらを参照してください。

奥泉様、資料ご提供ありがとうございました!



その後、自分もmT管を使用して、回路図を若干アレンジして、同じ物を組み立ててみました。自分は整流にダイオードを使わずに、貴重な整流管5M−K9を使ってみました。回路図はこちら。単球だと寂しいので、2球としてみました・・・。何故か5M−K9がたくさん有るので・・・。いつもお世話になっているラジオ少年様で電源トランス(T−1V)や、水晶振動子(1MHz、HC−6U)などを購入させて頂きました。お問い合わせの多い、4mHのRFCですが、トランジスター用も使用出来ますが、電流が流れるのでなるべく大きな物を使って頂くか、神戸電子サービス真空管用のRFCを購入してください。尚東京ラジオデパートの1階のアイコー電子2号店では、真空管用の2.5mHが360円で売っていますので、これでも代用出来ます。


内部はこんな感じです。シンプルなんで作りやすいと思います。水晶振動子は1MHzを使用しましたので、ラジオを1000KHz付近に同調させて、お気に入りの音楽を真空管ラジオで楽しむ事が出来ます。電波は5球スーパーなら、隣の部屋でも受信可能でした。どうです?FMチューナーを接続してお気に入りの番組を聴いても良いでしょうし、玉音放送を再生して戦前の並四ラジオで昭和20年の終戦当時の雰囲気を味わっても良いでしょうかね?懐メロのテープがあれば、最高かもしれませんね?将来、ラジオ放送が完全にデジタル化した時には、真空管ラジオで音を聞く最後の手段になりそうですね・・・?!また、この回路等に関する質問はご遠慮ください。回路のアレンジはご自分の責任で実施してください。HP等に掲載する場合は、出典先を明示ください。以上、製作費用は約5,000円、製作時間は約8時間でした。


その後、このラジオの依頼主の方からも製作を依頼されました。作製費用は約7,500円でした。


その後、送信周波数可変式、単球中波帯送信機を新たに製作してみました。作製費用は約8,000円でした。



その後、読者の高校生の方からも、同じ物を製作したとのご連絡を頂きました。綺麗に作ってあると思います。真空管に興味を持って頂く若い方が居られるのは頼もしいことです。


入力信号に発信器から1KHzの信号を入れて、出力波形をオシロで観察して頂きました。


1MHzの搬送波に1KHzでAM変調がかかっているオシロの波形です。写真のご提供、ありがとうございました!真空管ラジオをお持ちではないとの事でしたので、お礼に85番のラジオを提供しました。大切にお使いください!



その後、周波数を可変したり、電波を強くしたりとのご要望を頂き、回路を考えました。愛知県のY.K様が組み立てて実験なさってくださいました。可変周波数範囲など、まだまだ改良の余地は有りそうです。

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誠文堂新光社から2007年11月中旬に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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