ナショナル「AH−630」修復記その2


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修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「AH−630」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、6BE6(周波数変換)、6BD6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、6X4(整流)、6Z−E1(同調指示)である。一応通電確認して、音が出たそうだ。


修復前の内部の様子。当時のHiFiラジオで、良い音が期待される。


シャーシー上部は、若干の埃と錆が見られる。


マジックアイは、マジックアイテスターにて確認したところ、ご覧のとおりほとんど光らず。これは依頼主の方の御依頼により、新品に交換する事にする。


修復前のシャーシー上部の様子。エアガンで埃を吹き飛ばしましたが、まだ汚れが目立ちます。


修復前のシャーシー内部の様子。修理や改造の跡は見られない。オリジナルの状態である。


シャーシーを洗浄し、綺麗になりました。どうです?ナショナのラジオは、豆球の配線がボロボロなんで、まずはこの配線を交換する事から始めました。電源コードも交換しました。これからコンデンサー類の交換を実施します。


電気回路の修復が完了したシャーシー内部の様子。信頼性の低い全てのペーパーコンデンサーを、フィルムコンデンサーに交換しました。ブロック型ケミコンは、ケミコンテスターにて漏洩電流を計測したところ、230Vで0.08mAとかなり優秀であったので、このまま使用する事としました。シャーシー後ろ側にマジックアイの消灯用のスイッチを取り付けました。普段は消灯して、輝度の低下を防止してお使いください。


また依頼主の方が、外部入力で音楽を楽しみたいとの事で、入力トランスを作製した。このラジオはPHモードに切り替えても本体の音量調整が効くので、入力トランスにボリュームは取り付けておりません。


キャビネットはそんなに状態が悪くないが、再塗装がご希望との事で分解しました。


前面のプラスチックのパネルは、水洗して綺麗さっぱりになりました。


終戦直後の出力トランスは巻き線の材質が悪く、使っているとほとんどが断線したが、このラジオの頃は巻き線の材質も向上し断線するのは1〜2割程度となったが、依頼主の方のご希望により出力トランスも新品に交換しました。これで安心して使用出来ます。


ここで通電確認しようと思ったら、困った事が発生した。電源が入らないのである。原因は電源スイッチの接点の接触不良。修復しようと思ったがうまくいかず、別の部品取りラジオから同じ様なスイッチを取り外して移植した。その後、通電確認して動作は良好であった。これから再塗装作業に取りかかります。



再塗装が完了したキャビネット。木目を生かしたいとのご希望で、明るい色にしました。ところで今回ニスを購入したのですが、以前は大きな容器のニスが800円台だったのですが、今回は同じメーカーの小さい容器のニスが、1500円以上に値上がりしてました。びっくりです。塗料に抗菌効果を追加したらしいですが・・・。


修復が完了したところ。柔らかな音でガンガン鳴ってくれる。各種試験後、問題無さそうなので完了とする。是非とも大切にお使いくださいね。

以上修復作業時間は約15時間、交換部品代は約9,900円でした。

以前、このラジオと同型を修理経験が有ります。詳しくはこちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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また、私のHP上で公開している写真、回路図、文章などの無断での2次使用はお断りします。一言メールにて断って頂ければ、一向にかまいません。私にラジオを修理依頼された方は、自由に使って頂いてかまいません。以上、よろしくお願いします。(以前、文章をそのまま雑誌に転記された事、HPで無断使用された事がありますので・・・。)

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