ナショナル「AG−390G」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランスレススーパーラジオその8 > ナショナル「AG−390G」修復記

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「AG−390G」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、19A3(整流)、12Z−E8(同調指示)である。こちらは通電はしたが、音は出なかったらしい。


修復前の内部様子。この頃流行った、モノラルなのにツースピーカー仕様のラジオである。こちらも年代相応の汚れであろうか?


シャーシーを拡大したところ。各機種、同じ様な配置である。こちらも特殊なPUプラグが欠品である。さ〜て、どうしようか?


マジックアイはご覧の様に、真っ暗の状態でかすかに光る程度。トランスレス用のマジックアイの12Z−E8は秋葉原でも入手出来ない貴重品であるが、僕の所にはまだ新品の在庫が有るのである。先日オークションに出品したら、8,000円以上の高値が付いた超レアな真空管である。


修復前のシャーシー上部の様子。かなり汚れが目立つ。ナショナルラジオ特有の、豆球の配線がボロボロである。


修復前のシャーシー内部の様子。オリジナルの状態で、修理や事故の跡は見られない。


調べていると、出力トランスの1次側が断線していた。通電して音が出なかったとの事でしたが、これが原因であろう。戦後直後のラジオの出力トランスは、巻き線の材質が悪く半数以上が断線しているが、この頃のラジオでは巻き線の材質も向上し、断線しているのは1割程度である。交換が必要であるが、この出力トランスは1次側が3KΩに対し、2次側が1.5Ωとなっている。こんな特殊な出力トランスは現在販売されていないので、インピーダンス比が同様な7kΩ:4Ωのトランスで代用する事とする。大きさも同じくらいで都合がよい。ところで、出力トランスの在庫が無くなったので注文したところ、1個あたり500円程値段が上がっていた。今回交換する分は在庫分なので、前の金額で交換できるが・・・。


汚かったプラスチックキャビネットは、水洗して綺麗さっぱりとなりました。


修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーを交換しました。ケミコンは漏洩電流を計測したところ、使えるレベルだったので、このままとしました。断線していた出力トランスは、スペースの関係からシャーシー上部に取り付けました。動作確認してみると、ボリュームのガリが酷かったので、交換しました。電源コードも交換してあります。


修復が完了したところ。アンテナ線を延ばすとガンガン調子よく鳴ってくれる。キャビネット後ろにマジックアイの明・暗・切の切り替えスイッチを付けてあります。普段は消灯して貴重なマジックアイの輝度低下を防止して、大切にお使いくださいね!現在このマジックアイ12Z−E8が5,800円でオークションに出品にされていますね。


Bluetoothで外部入力を楽しみたいとの事で、AM微弱送信機を作製する事にしました。とりあえずアルミシャーシーに穴開け加工しました。


完成したAM単球微弱送信機。送信周波数は1017KHzですが、内部のトリマを調整すると可変出来ます。Bluetooth受信機を接続して、これで思う存分真空管ラジオの音をお楽しみください!

以上、修復作業時間は約6時間、ラジオ修理だけの交換部品代は約9,100円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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