ベクトラ「型式不明」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその7 > ベクトラ「型式不明」修復記

修理を依頼された、ベクトラ(VECTORA)の「型式不明」 の修復をして見ました。


修復前の様子。終戦直後に流行ったラジオの組み立てキットを素人が組み立てたらしいラジオが修理にやって来た。思ったより状態が悪そうだ。使用真空管は6SA7−GT(周波数変換)、6K7(中間周波増幅)、6SQ7−GT(検波&低周波増幅)、KX−80(整流?)、6Z−P1(電力増幅)、KX−80BK(整流)と、何故か整流管が2本あるのは何故だろう???KX−80はフィラメントが通常よりかなり細い気がするし、断線している。終戦直後に流行った組み立てキットなのに、何故かGT管やメタル管が使われているのも謎である?ツマミが1個欠品である。


エンブレムの様子。VECTORAとは、VICTORをイメージした名称であろうか?


修復前の内部様子。GT管とST管の混成編成のようだ。内部はかなり埃が溜まっていて汚い。


ダイアル目盛りは、中波と短波の目盛りが付いているが、中波帯専用である。


スピーカーは何故かmTトランスレスラジオに付いている様な、すごく小さい物が付いている。これも謎である。本当は大きな口径のスピーカーに交換したいところだが、依頼主の方と連絡が取れずに、このままとする。


修復前のシャーシー内部の様子。2本有った整流管は、KX−80の方がやはり配線が外されている。何故ここにUXソケットが配置されてKX−80が刺してあるのかのか、訳が解らない???謎だらけのラジオである。果たして動作するのであろうか?


これが謎の、6SQ7−GT(検波&低周波増幅)と6Z−P1(電力増幅)の間にあるKX−80が刺さっていたUXソケット部分である。カップリングコンデンサーでスルーした。


電気回路の修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーとケミコンを交換しました。ガリの予想される2つのボリュームも交換しました。音量調整側は、PU切り替え無しのスイッチ無しのボリュームに交換しました。状態の悪いヒューズホルダーも新品に交換しました。これから切れているダイアル糸の張り替えや、出力トランスの交換などを実施します。


修復が完了したところ。ツマミが3つ共そろっていないのと、スピーカーが小型で音に迫力がないのが残念だ。ツマミは左が電源と音質調整、中央が同調、右が音量調整である。友人から譲って頂いたラジオ、大切にお使いくださいね。

以上修復作業時間は約10時間、交換部品代は約6,900円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

匿名でも結構ですので、是非ともアンケートにご協力お願いします!また、ご意見ご感想はこちらまでお願いします。(こちらは匿名と携帯メールはご遠慮下さい!)

また、私のHP上で公開している写真、回路図、文章などの無断での2次使用はお断りします。一言メールにて断って頂ければ、一向にかまいません。私にラジオを修理依頼された方は、自由に使って頂いてかまいません。以上、よろしくお願いします。(以前、文章をそのまま雑誌に転記された事、HPで無断使用された事がありますので・・・。)

真空管ラジオを修理依頼される方はこちら

inserted by FC2 system