三菱「型式不明」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその5 > 三菱「型式不明」修復記

修理を依頼された、三菱電機(MITSUBISHI)の「形式不明」 の修復をして見ました。


修復前の様子。廃業した喫茶店に飾ってあったラジオを譲り受けたそうである。使用真空管は、6BE6(周波数変換)、6BD6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、5M−K9(整流)、6E5M(同調指示)である。


修復前の内部様子。かなりの埃と汚れである。事故が有ったのか、電源コードが切られている。中央の赤色のスライドスイッチは、ラジオとPUの切り替えである。PU端子に入力トランスを接続すると、外部入力が出来ます。


修復前のシャーシー上部の様子。かなりよごれている。これでもエアガンで埃を吹き飛ばしたのであるが・・・。オートトランスの85V/100Vの電圧切り替えタップの両側に、何と5Aのヒューズが付いている。これは間違いで、15V分がショートされてトランスが発熱し、危険である。きっとトランスが発熱し煙が出て、電源コードを切ったのであろう・・・。5Aの電流値も大きすぎて、危険である!きっと素人が取り付けたのであろう?


修復前のシャーシー内部の様子。事故や修理の跡は見られない。ダイアル糸が切れている。交換されたと思われるトーヨー製のmT管のマジックアイ、6E5Mはヒーター切れで点灯しなかった。


プラスチックキャビネットは綺麗に水洗し、サッパリしました。


キャビネットの上部はご覧の通りかなり汚れている。


キャビネット上部の汚れは、残念ながら研磨材でいくら磨いても、これ以上綺麗になりませんでした。塗料が掛かったのでしょうか?


電気回路の修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーとオイルコンデンサーを交換しました。ブロック型のケミコンは、漏洩電流を計測して合格だったので、このまま使用する事にします。劣化が激しかった6BE6と、ヒーターの断線していた6E5Mは交換しておきました。ダイアル糸も張り直しました。この頃の出力トランスは、巻き線の材質もかなり良くなって、断線の確率も10〜20%程度なので、とりあえずこのままとした。ガリの有ったボリュームは、新品に交換しました。


修復が完了したところ。各種試験後、問題無さそうなので完了とする。バーアンテナ内蔵なので、アンテナ線が無くてもそこそこ受信が可能である。後ろ側にマジックアイの消灯用のスイッチを取り付けました。普段は消灯して輝度の低下を防止して大切にお使いください。喫茶店で飾っていたラジオ、店のオーナーと思い出をお楽しみください!

以上、修復作業時間は約7時間、交換部品代は約6,300円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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