ナショナル「EA−370」修復記その2


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修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「EA−370」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、19A3(整流)、12Z-E8(同調指示)と、レス機アイ付きのオーソドックスな構成である。


修復前の内部様子。こちらは埃が積もっており、状態もあまりよろしくないみたいだ。


修復前のシャーシー上部の様子。洪水の浸水に遭ったのか、内部に泥が入った様な跡があり、スピーカーのコーン紙も破れている。何と整流管の19A3の所に、35W4が挿してある。マジックアイ付きレス用の19A3が入手できなかったらしい。確かに現在も貴重品であるが・・・。入手動作はするかもしれませんが、ヒーター電圧やパイロットランプの電圧に問題がありますので、元の新品の19A3に交換する事にします。ダイアル糸も切れていましたので、張り直しする事にします。いろいろと問題が有りそうです。19A3用のパイロットランプも最近は入手困難ですが、一応交換しておきます。これももう、在庫限りです。


修復前のシャーシー内部の様子。虫が巣を作った様な跡まである。大丈夫であろうか?


アンテナコイルは線が断線し、見ての様に、ボロボロの状態である。さーてこれはどうしようか?同じ物はないし、他から代用品を探さなくてはなりません。


ペーパーコンデンサーも破裂したのかものすごい状態になっている。昭和30年代のmT管レスにしては、かなり状態が悪い。修復には時間が掛かりそうである。


マジックアイは自作のマジックアイテスターで確認しましたが、輝度はご覧のとおり暗いところでやっと見える程度でした。予想通りですが・・・。現在レス用のマジックアイ12Z−E8は、秋葉原でも入手困難で、大変貴重品です!!!


キャビネットは水洗し、少しは綺麗になりました。


キャビネットの上部には、回路図も残っている。


全てのペーパーコンデンサーを交換したところ。鳴ると思ったがウンともすんとも言わない・・・。原因はイヤホンジャックの不良。今度こそ鳴ったがものすごく感度が悪く、音も小さい。調べたら2段目のIFTの同調周波数がものすごく低い。調整範囲外だったので、IFTを交換する事にした。同じナショナルのIFTが有ったので中古であるが交換した。


修復が完了したところ。アンテナ線を伸ばすとガンガン聞こえます。比較的新しいmT管トランスレスラジオであるが、修復にはかなりの時間とお金が掛かってしまった。後ろにマジックアイ消灯用のスイッチを取り付けてあります。普段は消して大切にお使いください!

以上、修復作業時間は約10時間、交換部品代は約11,000円でした。

このラジオと同じ形式のラジオは以前に修理の経験があります。詳しくはこちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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