オリオン「OS−3」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその6 > オリオン「OS−3」修復記

修理を依頼された、オリオン(ORION)の「OS−3」 の修復をして見ました。


修復前の様子。喫茶店に飾ってあったラジオが、お店の廃業を期に、店のオーナーから修理を依頼されたラジオである。真ん中のツマミが、オリジナルではない。


修復前の内部様子。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80BK(整流)、EZ−6E5D(同調指示)である。


何とマジックアイには、大変貴重なEZ−6E5Dが付いていたが、残念ながら空気が入っており、ゲッターが白くなっている。ターゲットの焼け具合から、輝度は残っていなそうであるが・・・。


ご覧のとおり、銘板も綺麗に残っている。整流管は12Fと記載があるが、実際は余裕のある80BKが使用されていたり、記載がない同調指示の6E5Dが付いていたりと、実際と異なっている。


修復前のシャーシー上部の様子。埃や錆で、かなり汚い。


修復前のシャーシー内部の様子。オリジナルの様に見えるが・・・。


キャビネット底面には、回路図も貼ってあった。株式会社オリオンラジオとあるが、戦後直後に出てきた新興ラジオ会社であろう。実はこの回路図と実際の定数や回路が、実物とかなり違っており最後の動作確認でかなり悩む原因となった。


当初付いていた上段のツマミは、1個別の小さなツマミが付いていたので、下段の似たツマミを見つけたので、これを取り付ける事とします。


修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーと、ブロック型ケミコンを交換しました。電源コードもヒューズも交換しました。ダイアル糸が滑ってうまくチューニング出来ないので、ダイアル糸も張り替えました。ガリが予想されるボリュームも、2個交換しました。PU切り替えスイッチ付きのボリュームは特注品で高価なので、PU機能は使わないとの事でしたので、普通のスイッチ無しのボリュームに交換しました。これで完了と思って動作確認したが、鳴らない。原因はマイカコンデンサーの不良や真空管の劣化などで、完了まで大変手間と時間が掛かったラジオである。やれやれ・・・。


修復が完了したところ。出力トランスも交換しましたので、安心して楽しめます。複数の真空管が劣化していて、残念ながらあまり大きな音が出ない。感度が悪ければ、アンテナ線を延ばしてお使いください。シャーシー後ろ側にマジックアイの消灯用のスイッチを取り付けました。普段は消灯して、マジックアイの輝度の低下を防止して、大切にお使いください。では、柔らかな真空管ラジオの音を、心ゆくまでお楽しみください!

以上修復作業時間は約11時間、交換部品代は約12,200円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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また、私のHP上で公開している写真、回路図、文章などの無断での2次使用はお断りします。一言メールにて断って頂ければ、一向にかまいません。私にラジオを修理依頼された方は、自由に使って頂いてかまいません。以上、よろしくお願いします。(以前、文章をそのまま雑誌に転記された事、HPで無断使用された事がありますので・・・。)

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