オリンピア「エリミネーター」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその6 > オリンピア「エリミネーター」修復記

修理を依頼された、オリンピア(OLYMPIA)の「エリミネーター」 の修復をして見ました。


修復前の様子。貴重な戦前の立派な外観のラジオである。使用真空管はUY−227(再生検波)、UX−226(低周波増幅)、UX−112A(電力増幅)、KX−12B(整流)と、戦前のエリミネーターの王道である。


修復前の内部様子。年代の割には綺麗な状態である。貴重なナス管使用である。


同調と再生調整のツマミには、Olympiaの文字が見られる。


内部には昭和4年10月30日付けの、大阪市電気局の検査済み証書が見られる。


内部の電源トランスの銘板である。梅田電気との名称が見られる。


まな板シャーシーを取り出したところ。内部にはたくさん埃がつもっており、エアガンで吹き飛ばしました。これを外すのに固定用の木ネジが多数あり、苦労した。


まな板シャーシー下部の様子。一部の配線がやり直されている。2個の段間の低周波トランスの断線はないが、交換修理されたらしく、それぞれは違った製品がついており、電源の平滑用にも、B−P間が断線した段間の低周波トランスのG−Fの巻き線が使用されている。いろいろと修理の手が入った様だ。右下の茶色の大きな物が、電源平滑用のペーパーコンデンサーである。


段間の低周波トランス。巻き線が見えるのは珍しい。巻き線の断線はなし。


もう1個の段間低周波トランス。こちらはノーマルな形状である。巻き線の断線はなし。


こちらは再生検波段の高周波チョークコイル。珍しい形状である。巻き線の断線はなし。


この巨大なペーパーコンデンサーであるが、容量抜けなのか実測値で1μFもなかった。銘板にはこの大きさで、4μFと記載があるが・・・。


電気回路の修復が完了したところ。ほとんどの配線をやり直しました。一部ペーパーコンデンサーは残ってますが、配線は外しており全て新品のケミコンに交換してあります。巻き線の断線が無かった低周波トランス類は、このまま使用する事にしました。ヒューズが付いていなかったので追加し、危険だった電源コードも交換しました。これで安心して使用出来ます。


修復が完了したところ。ハム音が若干大きいが、元気よく鳴ってくれる。左のツマミが同調、右のツマミが再生調整です。戦前のラジオなので、受信周波数の上限が低いので、受信地域よっては、全ての放送局を受信出来ない場合もあります。電源スイッチの絶縁抵抗が若干低いので、使わない時はコンセントを抜いて、安全には気をつけて大切にお使いください!

以上修復作業時間は約15時間、交換部品代は約3,300円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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