タイヘイ「6R−23B」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその5 > タイヘイ「6R−23B」修復記

修理を依頼された、日本硝子工業(TAIHEI)の「6R−23B」 の修復をして見ました。


修復前の様子。ツマミは外されている。使用真空管は、6BD6(高周波増幅)、6BE6(周波数変換)、6BD6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、5M−K9(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。高周波1段増幅の高級機である。


修復前の内部様子。依頼主の方がレストアしたので、綺麗な状態である。スピーカーが外れている。


型式は6R−23と記載があるが、下部キャビネットには、6R−23Bと書かれていた。硝子製造の会社が、ラジオを販売している珍しいラジオである。硝子といえば真空管でも製造していたのであろうか?と思ったが、使われている真空管は、全てナショナル製であった。このラジオはキットという情報もあるが、半田付けや配線を見るとプロ並みに綺麗だ。この型式には、6R−23Aと6R−
23Bがあり、A型は中波専用で、B型は中波と短波の2バンド仕様である。


修復前のシャーシー上部の様子。綺麗ではあるが、ダイアル糸が付いていない。



修復前のシャーシー内部の様子。一部の部品が交換されている様であるが・・・。中央にトリオの3バンドのコイルパック見られるが、受信は2バンドである。キットらしく、バリコンと真空管はナショナル、IFTとコイルパックはトリオ、スピーカーはパイオニアが付いている。部品供給にしがらみが無いので、統一性がないのである。


ここで、とんでもない配線を見つけた。何と5M−K9のヒーター(B電圧)と、他の真空管のヒーター6.3Vの間に、3KΩの抵抗が付いている。これで通電すると、とんでもない事が起きる。大変危険な状態であった!!!何でこんな所に抵抗を付けたのであろうか?


この辺の、部品交換されたらしい整流管と出力管あたりも、誤配線が多数見られる。全てやり直した方が早い?


マジックアイの明るさはご覧のとおり、あまり明るくはない。


電気回路の修復が完了したシャーシー内部の様子。誤配線を修正し、全てのコンデンサー類を交換しました。高周波回路部分には手が付けられていなかったので、助かった。この辺がいじられていれば、訳が解らなくなったであろう。


ダイアル糸は張り直しを実施した。このラジオは、ダイアル指針にも豆球が付いており、チューニングを動かすと豆球も移動する仕組みであるが、その分指針が重たくなり、糸が滑るので、調整した。いよいよ通電して動作確認してみたが、ウンとも言わない。原因はこの出力トランスの1次側の断線であるが、このラジオのスピーカーのインピーダンスが16Ωと記載がある。出力トランスで、2次側が16Ωに対応している物が無いので、3.5KΩ/8Ωのトランスを使って、6AR5の出力インピーダンスの7KΩに合わせる事にする。意外と手間が掛かるラジオである。


やっと修復が完了したところ。最初に通電試験をしたところ音が非常に小さい状態で、まだどこかに誤配線があるのかと配線ばかりチェックしていたが見つからず、原因は抵抗値が大幅に狂っていた抵抗が見つかり、これを交換したら見事に音が大きくなった。各種試験後、問題無さそうなので完了とする。もの凄く手間と時間が掛かったラジオですので、大切にお使いくださいね!

以上修復作業時間は約12時間、交換部品代は約2,500円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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