FUTABA「形式不明」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその6 > FUTABA「形式不明」修復記

格安で落札出来た、二葉商会電機工作所(FUTABA)の「形式不明」 の修復をして見ました。


修復前の様子。まあまあの状態のラジオが格安で落札出来た。使用真空管は、UY−57(再生検波)、UX−26B(低周波増幅)、UX−12A(電力増幅)、KX−12F(整流)と戦前並四のスタンダードである。


修復前の内部様子。年代相応の状態であろうか?残念ながら、つまみの1つのイモネジが錆びて外せず、ドリルで穴を開けて強制的に外した。


修復前のシャーシー内部の様子。電源平滑用のチョークコイルが断線し、抵抗に置き換えられていたり、カップリングコンデンサーが交換されたり、一部修理の跡が見られる。段間の低周波トランスの1次側巻き線が断線しているが、マグネチックスピーカーのコイルは導通があった。


修復前のシャーシー上部の様子。所々に錆が見られる。


ダイアル目盛り板は、比較的綺麗な状態であるが、何かおかしいのである。下側の目盛りには、キロサイクルと周波数の表示があるが、バリコンの羽が全て入った方向で周波数が高くなり、羽が抜けた状態で周波数が低い目盛りを指すのである。方向が逆なのである。メーカー製のラジオでは考えられないので、この目盛り板だけ移植されたとしか考えられない?不思議である。


修理依頼のラジオの修理を優先したおかげで、このラジオは約3ヶ月ぶりに修理を再開する事になった。内部は、一部コンデンサーが交換されていたり、ケミコンが追加されていたり、電源平滑用のチョークコイルが断線して、抵抗に置き換わっていたりと、何度か修理の手が入っている。調べて見ると段間の低周波トランスと、写真中央の高周波チョークコイルが断線していた。マグネチックスピーカーのコイルは導通があったが、念のため交換する事にする。まずは汚れているシャーシーの清掃から実施した。


上の写真の高周波回路と低周波トランス周りの修復後の様子。全ての部品を交換しました。


電源回路周りの様子。大きなペーパーブロックコンデンサーを取り払い、すっきりしました。


UX-12Aのヒーター(フィラメント)の配線は、何故か片側だけ2Ω程度の抵抗が入れられている。電圧を落とす目的なら、ハムバランサーの関係で、ヒーターの両側に抵抗を入れるべきである。後で電圧をチェックしてみよう。


電気回路の修復が完了したところ。ほとんどの部品を新品に交換してありますので、安心です。これからマグネチックスピーカーのコイルの交換をして、完成となります。


この度、マグネチックスピーカーのコイルを交換する為の専用治具を入手できましたので、コイルの交換が格段に楽になりました。


ところがこの交換用の治具は、マグネットの幅が24mmまでしか対応しておらず、このスピーカーの磁石の幅は25mmあって、残念ながら使用出来なかった。


UX-12Aのヒーター(フィラメント)の片側に付いていた抵抗で、電圧が1V程度落とされて4V程度となっていたので、抵抗を取り外して正規の5Vの電圧が掛かる様になりました。何故この抵抗が付いていたのかは不明である。不思議な事が多いラジオである。


修復が完了したところ。ほとんど見えないが、これでもダイアル目盛りにパイロットランプが点灯しているのである。意外と大きな音で鳴ってくれる。暇なときにでも、キャビネットをもう少し綺麗にしてみようと思います。

以上、修復作業時間は約13時間、交換部品代は約3,500円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!


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