ナショナル「ＥＦ−８５０」修復記その１

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修理を依頼された、松下電器産業（ＮＡＴＩＯＮＡＬ）の「ＥＦ−８５０」 の修復をして見ました。

修復前の様子。一応修復はされており、調子よく鳴るそうであるが、安全に末永く使用するために修理＆点検にやってきた。使用真空管は、１７ＥＷ８（ＦＭ用高周波増幅＆周波数変換）、１２ＢＡ６（ＦＭ用中間周波数増幅）、１２ＢＥ６（ＡＭ用周波数変換）、１２ＢＡ６（FM&ＡＭ用中間周波数増幅）、１２ＡＶ６（低周波増幅）、３０Ａ５（電力増幅）、１２Ｚ−Ｅ８（同調指示）、（ダイオードによる整流）である。

修復前の内部様子。裏蓋が割れていたので、修復した。まあ年代相応の汚れであろうか？

修復前のシャーシー内部の様子。修理の痕跡が見られ、主要なコンデンサーが交換されているが、信頼性の低いペーパーコンデンサーやオイルコンデンサーも数個見られる。電源１次側をまたぐコンデンサーは、安全規格を満たしたコンデンサーに交換されているので、それなりに知識がある方が修理したのであろう・・・？

電源のブロック型ケミコンはずいぶん苦労されており、ラグ板を立てて交換されている。ボリュームも軸を延長して交換されている。

マジックアイは、ご覧のとおりあまり光らず。レス用の１２Ｚ−Ｅ８は、秋葉原でも新品の在庫が無く大変入手困難ですが、僕の所にはまだ在庫がありますので、交換することにします。キャビネット後ろ側に消灯用のスイッチを取り付けますので、普段は消灯して、貴重なマジックアイの輝度低下防止にお役立てください！

修復が完了したところ。全てのペーパーコンデンサーとオイルコンデンサーを交換しました。ケミコンも交換しました。信頼性の低い整流用のダイオードも交換しておきましたので、安心です。知識がある方が修復した割には、ヒューズに３Ａもの大きな物が付いていた。これでは役に立たないので、適切な容量のヒューズに交換しました。よーく調べて見たら、ラジオ工房の内尾様が直したラジオみたいです。ここのページの３台目のラジオです。

サランネットの張り替えもご希望との事で、前面のパネルを外してサランネットを交換します。

音出しをしたら、音量調整がスムーズではなく、音が割れる感じがした。確認してみると軸を延長して交換されていた可変抵抗器が、本来５００ＫΩＡ型である所に、秋月電子社製の１００ＫΩＢ型のボリュームに、直列に１２０ＫΩの抵抗が付いていたが、この直列の抵抗はショートされていた。接着剤で不自然に取り付けられていたボリュームである。何故こんな取り付けになっているのであろう？正式な５００ＫΩＡ型に交換します。

サランネットは張り替えてすっきり綺麗になりました。

修復が完了したところ。音が歪む原因は、１２ＡＶ６の負荷抵抗３３０ＫΩの抵抗値が増加し、４８５ＫΩにもなっていましたので交換しました。貴重なレス用のマジックアイも交換し、明るく光っています。大切にお使いください。

以上、交換部品代は約５９００円、修復作業宇時間は約８時間でした。

その後、これと同型のラジオを修理しました。詳しくはこちら。

誠文堂新光社から２００７年１１月１６日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、２００８年１２月１７日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、２００９年１０月２２日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、ＣＱ出版社から２０１０年４月１９日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも１冊ご購入をお願いします！

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