ナショナル「BA−600」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその3 > ナショナル「BA−600」修復記

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「BA−600」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、6BE6(周波数変換)、6BA6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6BQ5(電力増幅)、5G−K4(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。整流管のみGT管である。28cm(11インチ)の大型スピーカーが付いている。ORTHO−PHONIC SUPERと記載がある。ナショナルのラジオには、いろいろな名前が付けられている。


修復前の内部様子。電源コードが交換されている。オークションの説明では、音は出たらしいが、要点検との事である。


キャビネットは残念ながら塗装が剥げ、状態はあまりよろしくない。


操作パネルの様子。音質切り替えもトーンが5段階に、フォノがSPとLPに、ラジオは帯域がナローとワイドに切り替えられるかなり凝った回路になっている。HiFiラジオの草分けであろうか?


修復前のシャーシー上部の様子。変わった作りだ。汚れはそれ程でもない。


修復前のシャーシー内部の様子。事故や改造の跡はない。ナショナルラジオ特有の、豆球の配線はボロボロである。ロータリースイッチのボールが失われており、カチカチ感がない。5ミリのステンレス球を取り付けて修復した。


修復が完了したところ。全てのペーパーコンデンサーを交換しました。鳴らしてみたら一瞬鳴ったがその後ウンともスンとも言わなくなった。原因は出力トランスの1次側巻き線の断線。ST管ラジオではよく有る事だが、この頃のラジオでは比較的珍しい。


その後、PU端子にiPodを接続したいとのご希望で、入力トランスを作製する事になった。iPodはD級アンプなんで、入力インピーダンス変換とアナログ変換の為に、入力トランスは必須です。トランスは山水のST−14を使いましたが、これは1,070円と、結構高価でした。


修復が完了したところ。マジックアイは新品で撮影してあります。電源回路にチョークコイルが入っているのでハム音もなく、ガンガン鳴ってくれます。大切にお使いください。

以上、修復作業時間は約10時間、交換部品代は約5,000円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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