ナナオラ「294A」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 自作ラジオとその他のラジオその3 > ナナオラ「294A」修復記

修理を依頼された、七欧無線(NANAOLA)の「294A」 の修復をして見ました。


修復前の様子。一応鳴るらしいが、音量調整のボリュームにガリがあって不安定だとの事で修理&点検にやってきた。PU切り替えスイッチ付きのボリュームは特注品であり、トランスファー以外の接点は入手が出来ません。使用真空管は6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UY−76(低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80(整流)、6Z−E1(同調指示)である。


ラジオ部分は、オーソドックスである。


修復前の内部様子。大きは、高さ80cm×幅50cm×奥行き45cm程度の大型電蓄である。シャーシーがアルミなんで、組み立てキットであろう。内部は非常に綺麗である。フィールドダイナミックスピーカー搭載である。ナナオラ製なのは、ターンテーブルのみらしい・・・?


修復前のシャーシー上部の様子。大変綺麗な状態だったが、つまみの1個が錆び付いており、ビクともしない。格闘して1時間。全然外れないので、最後の手段。ボリュームは交換予定なんで軸を切断した。錆び付いたイモネジをドリルで取り払った。やれやれである。


修復前のシャーシー内部の様子。ブロック型のケミコンが最近置き換えられた様であるが、危険なペーパーコンデンサーなどはそのままである。


置き換えられたケミコンであるが、耐圧が400Vである。この電蓄はフィールドダイナミックスピーカー使用なのでトランスのB巻き線は350Vと高圧で、しかも整流管が直熱管のKX−80なので、他の真空管が暖まるまでB電流が流れず、ケミコンには瞬間的に500V近い電圧が掛かるので、耐圧不足で危険である。本当は整流管に傍熱管のKX−80Kを使えば安心なのであるが・・・。500Vのケミコンに交換する事にする。


電気配線の修復が完了したところ。安全の為に全てのコンデンサーと抵抗を交換しました。ガリのあるボリュームも、両方交換しました。PU切り替えのトランスファー接点の長軸のボリュームは、特注品なので高価です。また出力トランスも1次側巻き線断線防止の為に交換の予定です。


マジックアイはほとんど光らず。(オレンジにみえるのは、ヒーターの光が写ってしまいました。)


修復が完了したところ。大きな音で鳴ってくれます。ほとんどの部品を交換したので、安心です。絶縁も真空管の状態も良好でした。マジックアイは新品で撮影しました。ターンテーブル部分はそのままで良いとの指示でしたので、特に点検&修理はしておりません。最高に雰囲気の良い貴重な電蓄です。是非とも大切にお使いください!

以上、交換部品代は約6,400円、修復作業時間は約10時間でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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