「古典並四」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその3 > 「古典並四」修復記

修理を依頼された、メーカー不詳の「古典並四」 の修復をして見ました。


修復前のシャーシー上部の様子。このラジオも、いつも部品の調達などでお世話になっている国産真空管ラジオ専門店の「ばざーら」の店長さんからの修理依頼である。使用真空管は、UY−56(再生検波)、UX−26B(低周波増幅)、UX−26B(電力増幅)、KX−12F(整流)であるが、元々はソケットの刻印からUY−227、UX−226、UX−226、KX−112のナス管使用である。中身のシャーシーのみ修理にやってきた。回路図はこんな感じか?出力管もUX-26Bを使用していることから、昭和10年前後のナス管の古典的、縦型(ミゼット)の並四ラジオであろう。


メーカーや形式を示すものは、見られない。スパイダーコイルが見られるが・・・。


修復前の内部様子。途中で修理を投げ出した見たいに、目茶苦茶な状態である。一体どうなっているのであろうか?黄色く見えるのは、現在の大きなフィルムコンデンサーである。スパイダーコイルが付いているが、ボロボロで使用出来なさそうだ。オリジナルでは、再生用のコイルを物理的にアンテナコイルに動かして近づけ、再生の掛かり具合を調整する仕組みらしい。段間トランスが、接近しすぎでは?


電気配線の修復をしたところ。ほとんど全ての配線をやり直しています。心配だった電源トランスも、何とか使えそうです。スパイダーコイルは取り外して、ボビン型の並四コイルを取り付け、再生は豆コン使用のオーソドックスな回路とした。ところが、通電すると放送は聞こえるが、発振気味で調子が悪い。修理前に気になってたのですが、段間の低周波トランスが異常に近く、隣り合わせに取り付けられている。電磁結合しないかと思ったら、やはり発振してしまった。最初から手直ししておけば良かったのであるが、後から手直しする羽目に・・・。面倒がらずに、気になる点は最初から対策しておくべきだった・・・。(反省!)


段間の1:3の低周波トランスの配置を変えて、修復が完了したところ。発振に悩まされて、やっと完成しました。


修復が完了したところ。出力管も26Bなんで、あまり大きな音は出ませんが、そこそこ鳴ってくれます。マグネチックスピーカーは、コーン紙を張り替え、コイルを交換して再生した物です。

以上、修復作業時間は約10時間、交換部品代は約2,300円でした。(支給部品を除く)

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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