ゼネラル「6S−8」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその4 > ゼネラル「6S−8」修復記

修理を依頼された、八欧無線(GENERAL)の「6S−8」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80HK(整流)、EZ−6E5(同調指示)と、ゼネラルST管ラジオのスタンダードである。外観は異常に綺麗である。キャビネットは再塗装されサランネットも張り替えられている。ツマミはオリジナルではない様だ。いったい内部はどの様になっているであろうか・・・???


修復前の内部様子。そこそこ綺麗であるが・・・。外観でだまされてはダメです!(爆!)


マジックアイはトーヨー製に交換されているが、ご覧の様にほとんど光らず。・・・と言うことは、かなり使い込まれた証拠である!他の真空管も交換されている様だ。


修復前のシャーシー内部の様子。やはり電気回路の修理や交換は実施されていなかった。でも直す自分としては、目茶苦茶にいじり回されているよりは、オリジナルで良かったかも?


内部には危険なコンデンサー等がそのまま・・・。外観に惑わされてそのまま通電して使用していたら・・・。


修復前のシャーシー上部の様子。ヒューズに何と3Aが付いていた。これでは全然役に立ちません!


ダイアル目盛り盤のフェルトも、鮮やかなピンクの物に張り替えられている。オリジナルはエンジ色であると思われる。7個の豆球のうち、5個は交換されているが、何故全てではないのかなぁ???ここまで交換したら、全部交換すれば良かったのにと思ってしまうのであります!


修復が完了したシャーシー内部の様子。全ての抵抗とペーパーコンデンサーとケミコンを交換しました。ご希望により、マジックアイの消灯用のスイッチも取り付けました。ロータリーSWのステンレス球が外れており、カチカチ感が無いので、取り付けて感触も良好になりました。


修復が完了したところ。真空管試験器でテストしたところ、整流管の80BKがカソードとプレートの漏洩電流不良で交換しました。テスターでチェックすると導通がある。もしこのまま通電したら、ケミコンに直接交流が流れて、恐ろしい事になったであろう!通電しなくて点検に来て、本当に良かったです!推測すると、キャビネットなど再塗装してラジオを楽しんでいたが、内部の電気配線はそのまま使っていた。そのうち整流管がショートし、交流がB回路に流れ、ヒューズが飛んだ。今度はヒューズが飛ばない様に3Aの大きなヒューズを取り付けたが、強烈な音でブー音が出て鳴らなくなり、自分で直せないのでそのままオークションで処分した。外観が綺麗なので、オークションでも高値が付いたが、実はとんでもない状態であった・・・かな?各種調整後、問題無さそうなので完了とする。綺麗なラジオ、大切にお使いくださいね。

以上、修復作業時間は約8時間、交換部品代は約4,200円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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