NRI−70真空管試験機


(続)真空管ラジオ修復記 > NRI−70真空管試験機

最近、オークションで米国製National Radio Institute (NRI Professonal 70)という真空管試験器機を入手しました。


入手した時の様子。綺麗で動作品との事でした。製造年月は1955年(昭和30年)3月で、製造番号は5820号です。ロ−ル紙には、良く使用される真空管約600本のデ−タ−が見られます。また、補助デ−タ−表には512本のデ−タ−が収録されています。試験は、まず試験する真空管の品番をロール紙より捜して、その記載通りにA〜Fのスイッチを設定するしくみです。


対応している真空管は、ST管、GT管、ロクタル管、mT管です。2A3/2A5/2A7/12A/26/27/33/56/57/58等の古典ST管、6C6/6D6/6E5/42/80等の5球スーパー用ST管、1R5/1S5/1T4/1U5/3S4等の電池管、6AV6/6BA6/6BD6/6BE6/6AQ5/6AR5/6X4/12BA6/12BD6/12BE6/35C5/35W4/50C5等のmT管、6SA7/6SK7/6SL7/6SN7/6CD7/12SA7/12SK7/12SL7/12SN7/35Z5等のGT管等のおなじみのラジオ用真空管に対応しています。ヒーター電圧は、0.75/1.5/2.0/2.5/3.3/5.0/6.3/7.5/12.6/18.8/25/35/50/70/110Vに対応しています。(30Vが無いので、30A5は測れません!)残念ながら5MK9/6ZDH3A/6ZP1/12F/12YR1/12YV1/12ZP1/24ZK2/47B等の日本独自の球は、そのままでは対応していませんが、ほとんどの球はピンの配置とヒーター電圧から各スイッチのポジションを割り振り、エミッションテストは良品と比較する事は可能です。また、この試験器では、リーク・ショートテストと、フィラメントテストと、エミッションテストが実施出来ますが、残念ながらgmは測定出来ません。マニュアルもココから入手出来て大変助かりました。回路図もあります。


0〜9のレバーの切り替えで、どんなピン配置の真空管も測定出来ます。番号が真空管の足の番号に対応しており、Dの位置がヒーター、Eの位置がオープン、Fの位置がテストです。コモンの位置はアースです。また、一番下側には、各種真空管のスイッチ位置を示す、ロール紙が付いています。


表示部分のメーターです。最初に電源電圧を黄色の真ん中の位置に合わせてから、測定を実施します。通常の真空管のエミションテストは上部の目盛りを、ダイオードテストには下部の目盛りを使用します。


内部の様子。真ん中に電源トランスが鎮座してます。多数のヒーター電圧に対応しているので、たくさんのタップが出ています。他はスイッチと真空管ソケットの配線が主です。回路図はこちら。工夫すれば、自作も出来そうですね?


ロール紙の供給部分です。紙で出来ていますので、破れると大変です!


レストアは各種スイッチの接点の洗浄、ペーパーコンデンサーの交換、電源コードの交換等を実施した。ヒーター導通と、リークテスト用のネオンランプが点灯しない。球を交換しようと思ったが、ソケットから回らない。仕方がないので、ブラケットを取り付けた。が、まだ点灯せず。調査したところ、ネオン管と並列の抵抗R8が、回路図では620KΩなのに、何と実際は330Ωが付いていた。これではネオンが放電する電圧まで電圧が上がらないので、点灯しないのもうなずける。正規の620KΩに交換して、点灯する様になった。何故こんな抵抗値が付いていたのかは、疑問である???おかげで調子も良くなった。

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