テレビアン「T−40」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその3 > テレビアン「形式不明」修復記

修理を依頼された、山中電機(TELEVIAN)の「T−40」 の修復をして見ました。


修復前の様子。実家から頂いた戦前のラジオで、是非とも音を聞いてみたいとの事で修理を依頼される。使用真空管は、UZ−57(再生検波)、UY−56(低周波増幅)、UX−12A(電力増幅)、KX−12F(整流)である。このページの4番のラジオと同じであろうか?ツマミが1個欠品なのが残念である。


修復前の内部様子。タバコのヤニや錆で、内部も汚れている。回路図も形式を示す銘板も見あたらないが内部の張り紙で、T−40型と判明した。


セルロイド製のダイアル窓は、日に焼けたのか、タバコのヤニなのか、内部が全然見えない。日に焼けている場合は、修復が不能です。


修復前のシャーシー内部の様子。改造や修理の跡は無いが、部品の半田が取れていたり、変な配線になっていたり、本当に動作していたのであろうか?良く見ると、回路的におかしい所があったり、半田付けが下手だったりと、かなり怪しい・・・?真ん中に大きく見えるのは紙ケースのケミコンであるが、ケミコンのリードの1本が、ミゼットバリコンに繋がっていたりと、回路的に変である?誰かが目茶苦茶にしたのであろうか?


修復前のシャーシー上部の様子。年代相応の汚れと錆も見られる。マグネチックスピーカーのコイルは、珍しく導通があったので、このまま使用する事にする。


ダイアル目盛りは、ご覧の様にまあまあかな?かなり汚れてはいますが・・・。


シャーシーは、再塗装の為、完全に分解しました。サンダーで錆を落とし、再塗装に備えます。


シャーシーの再塗装が完了したところ。ご覧の様に、見違える程綺麗になりました。


修復が完了したシャーシー上部の様子。トランスのカバーも再塗装し、かなり綺麗になりました。どうです?


電気配線の修復が完了したところ。全ての配線をやり直し、抵抗やコンデンサー類も全て新品を使用していますので、安心です。


修復が完了したところ。キャビネットは洗浄し、ワックスクリーナーで仕上げました。またサランネットも張り替えを実施し、見た目の印象はかなり綺麗になりました。各種絶縁試験も良好でしたが、出力管のUX−12Aがやや弱っていました。UX−12Aは、現在は大変貴重で高価ですので、このままとしました。欠品のツマミは、サトーパーツK−2056というツマミを取り付けました。戦前の貴重なラジオ、是非とも大切にお使いください。

以上、修復作業時間は約15時間、交換部品代は約3,200円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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