ナショナル「8A−2」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその3 > ナショナル「8A−2」修復記

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「8A−2」 の修復をして見ました。


修復前の様子。国産真空管ラジオ専門店の「ばざーら」さんからの修理依頼品である。お店を訪問したところ、「これ、直さない?」と、店頭のラジオの修理を依頼された!使用真空管は、UZ−6D6(高周波増幅)、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅1)、UZ−6D6(中間周波数増幅2)、6Z−DH3(検波&低周波増幅)、UZ−6C6(AVC増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80(整流)と、お化けの様な豪勢な作りのラジオである。ナショナルでの最高級機種である。受信周波数は中波が550KHz〜1500KHz、短波1が3.0MHz〜8.0MHz、短波2が8.0MHz〜22MHzである。回路図日本ラジオ博物館様から頂きました。ありがとうございました!


修復前の内部様子。何とほとんどの真空管がシールドされている。ST管では珍しい3バンドのラジオである。使用している真空管は8球、パイロットランプも8球と恐ろしく贅沢である。いったいいくらだったんでしょう?


銘板もこのとおり・・・。昭和24年7月製造とある。戦後、GHQの占領統治もあと2年を残すこの頃に、こんな高級ラジオを購入できる人達は、どんな階級だったのであろうか・・・?


修復前のシャーシー上部の様子。ダイアル目盛りは、後ろから照らす仕組みになっている。


修復前のシャーシー上部の様子。右側の四角い2つは、何と電源平滑用のペーパー・ブロックコンデンサーである。この頃もまだケミコンが使われて居なかったとは、驚きである。


修復前のシャーシー内部の様子。一度修理の手が入っている様だ。検波&低周波増幅管が、6Z−DH3から6Z−DH3Aに変更されている。


3バンドなので、バンド切り替えスイッチは、一体型のコイルパックを使っている。


電源平滑用のペーパーコンデンサーに変わって、ブロック型のケミコンが後付けされている。また電源スイッチ兼用のボリュームが、交換されているが、何と引っ張ってスイッチが入る物に変更されている。何と不釣り合いな・・・。


修復が完了したシャーシー内部の様子。安全の為に、全ての抵抗とコンデンサー類を交換してあります。電源コードも交換しました。電源スイッチ兼用のボリュームも回して電源が入る初期のタイプに交換しました。検波&低周波増幅管も、オリジナルの6Z−DH3に戻しました。


修復が完了したところ。各種試験を実施して問題無さそうなので完了とする。さすが最高級ラジオである。感度も抜群の様である。お店で見かけたら、見てくださいね!?

以上、交換部品代は約5,000円、修復作業時間は約14時間でした。

このラジオは、日本ラジオ博物館このページにも紹介がありました。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売された「真空管ラジオ製作ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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