STAR-LITE修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランスレススーパーラジオその3 > STAR−LITE「形式不明」修復記

修理を依頼された、STAR−LITEの「形式不明」 の修復をして見ました。


修復前の様子。いたって小型でシンプルなデザインである。プラスチック製のキャビネットは、あちらこちら半田鏝で溶かされた痕があったり、タバコの煙で汚れており、状態はあまり良くない。一応鳴るそうであるが、音が歪んだり音量が絞れなかったり感度が悪かったりで、修理と点検を依頼される。古いラジオを点検して使うことは、安全上大変重要な事です。使用真空管は、12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、50C5(電力増幅)、35W4(整流)で、すべて日立製が付いていた。これでは国内の100V仕様にしては、ヒーター電圧の合計が122.8Vと高すぎる。輸出用であろうか・・・?50C5でなく、35C5の方が国内仕様であればいいと思うのですが・・・。


修復前の内部様子。真空管がこんなに接近している程、小型のラジオである。


修復前の後ろの様子。形式名も記載が無い。ケースの前面が、所々半田鏝で溶かされた様な跡がある。一応日本製の記載があるのであるが・・・。


修復前のシャーシー上部の様子。開けてびっくり、何とIFTが1個しか付いていない!また、パイロットランプすら付いていない!


バリコンは単連に見えるが、よく見ると親子バリコンである。しかも減速機能も無く、直結である。ずいぶんコスト削減されている様だ。


修復前のシャーシー内部の様子。信頼性の低いペーパーコンデンサーは使用されていない。しかし何と、ヒューズも付いていないし、ブロック型ケミコンは破裂寸前まで膨張している。ああ、恐ろしい・・・。ヒューズもPLも無しで、ヒーター電圧の合計から、どうも輸出用らしい・・・。それにしてもIFT1個とは、いったいどんな回路なんだろう・・・。これでは、感度がイマイチなのもうなずける。左側に見えるトランスは、出力トランスである。


キャビネットは完全分解後、スーパーオレンジという洗剤で洗浄し、タバコのヤニの汚れはすっきり綺麗になりました。白い前面のパネルは、日に焼けて少し変色しています。これは洗ってもこれ以上は綺麗になりません。


初段はIFTの代わりにコイルが付いています。2端子なんで、どうもIFTでは無いようです???その隣はOSCコイル、こんなに接近していて、大丈夫なのでしょうか?


修復が完了したシャーシー内部の様子。破裂寸前のブロック型ケミコンの代わりに、チューブラーのケミコンを取り付けました。音量が絞れない原因の可変抵抗器を交換し、安全の為にヒューズを取り付け、電源コードも交換しました。コードのゴムブッシュさえ付いてなかったので、安全の為に取り付けました。徹底的なコスト削減が図られているラジオです。


修復が完了したところ。元気に調子よく鳴ってくれます。パイロットランプが付いていないので、寂しいです。国内の100Vで使うのなら、出力管は50C5ではなく35C5に交換した方が、いいのですが・・・。かなりの手抜き回路なので、感度はそれなり。あまり使用されなかったのか、真空管は試験器でテストしたが、どれも状態は極めて良好であった。しばらくテストして問題無さそうなので、完了とする。超小型のラジオ、大切にお使いください!

以上、修復作業時間は約4時間、交換部品代は約1,000円でした。

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