ナショナル「EA−685」修復記その1


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその2 > ナショナル「EA−685」修復記その1

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「EA−685」 の修復をして見ました。


修復前の様子。全面パネルの塗装が剥げたり、ツマミが2個欠品だったり、キャビネットの塗装も状態が良くない。使用真空管は6BE6(周波数変換)、6BD6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、6X4(整流)、6Z−E1(同調指示)である。真空管は試験を実施したが、ほぼ良好な状態であった。マジックアイはオリジナルのナショナル製であり、明るい室内でなんとか見える程度。あまり使用されなかったのかもしれない・・・。


修復前の内部様子。内部は年代相応であろうか。清掃を実施してあるので、さほど汚くはない。ダイアル糸が切れている。通電したらスパークして煙が出たそうで、電源コードも切断されている。ナショナル特有のゴム被服のコードがボロボロで、シャーシーとショートしたものと考えられる。ああ、恐ろしい・・・。


ご覧の様に、キャビネットの塗装の状態も悪い様だ。無理な力が加わった様で、キャビネットの板が割れてシャーシーも変形している状態だ。


修復前のシャーシー上部の様子。依頼主の方が、清掃してあるので、埃などは少ない。


修復前のシャーシー内部の様子。どうやら当時のままである。修理や改造の跡は見られない。


ナショナルラジオ特有のゴム被服の配線はご覧の様にボロボロである。この状態で通電したのだから恐ろしい・・・。


電気配線の修復が完了したところ。危険なペーパーコンデンサーを交換し、皮膜の取れた配線をすべてやり直しました。電源平滑用ののケミコンは、ケミコンテスターでテストの結果漏洩電流も少なく良好なので、このままとしました。加熱し変色したドロップ抵抗も交換しました。電源コードも新しくしました。切れていたダイアル糸も掛け直しました。高圧を掛けてテストしたところ、何とロータリーSWの絶縁不良が発見された。依頼主の方も、ここから発煙したとの事でした。PU時にマジックアイを消灯する部分で絶縁不良の様で、この部分をバイパスした。B電圧が掛かる部分の絶縁不良は、ナショナルのラジオで結構発生するので、気をつけなくてはならない。その後、通電して動作は良好であった。これで安心してラジオを楽しめます。


全面パネルは、再塗装の為に、元の塗装を剥がしました。


修復が完了したところ。ツマミは欠品だったので、軸を延長して、サトーパーツのK−2056を取り付けました。マジックアイは残念ながら何とか見える程度です。テストして問題無さそうなので完了とする。HiFiラジオの迫力を末永くお楽しみください!

以上、修復作業時間は約10時間、交換部品代は約2,500円でした。

その後、このラジオと同じラジオを修理しました。詳しくはこちら

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