「大型電蓄」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 自作ラジオとその他のラジオその2 > 「大型電蓄」修復記

修理を依頼された、メーカー不詳の「大型電蓄」 の修復をして見ました。


修復前の様子。高さが1m弱、横幅も60cm弱と、かなり大きく40Kg以上と重たい。父の形見の品で、当時の音を聞いてみたいとの事で修理を依頼される。使用真空管は6SA7−GT(周波数変換)、6SK7−GT(中間周波数増幅)、6SQ7−GT(検波&低周波増幅)、6SJ7−GT(低周波増幅)、6V6−GT(電力増幅)、5Y3−GT(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。SPECIALと記載があるが、メーカー名は不詳である。おそらくは組み立て品であろう。上部には、子供のいたずらか、丸や四角のシールが貼られている。
似たような電蓄は、骨董屋さんでは、未整備品でも結構な値段で売られています!蛇足ながら電蓄とは、「電気蓄音機」の略である。オークションでもカテゴリーがあります。念のため。


修復前の内部様子。GT管6球+マジックアイの構成である。埃が山のように積もっている!右側の四角い黒い箱は、モーター用のコンデンサーみたいである。非常に心配な所である。


スピーカーは大型8インチのフィールドダイナミックスピーカーである。


ターンテーブルはご覧の通り。ピックアップ部分が輸送時に固定されていなかったので、アーム部分が動いてしまって、針を傷つけていなかったか心配である。その前にモーター部分は正常に回転するのか心配である。この部分は部品の在庫が有りませんので、故障していれば最悪は修理は不可能です。ターンテーブルユニット部分はナショナル製らしい。


修復前のシャーシー上部の様子。埃がものすごかったが、この度入手したコンプレッサーとエアーガンを使って、埃を一気に吹き飛ばす事が出来る様になった。辺りは埃だらけになったが・・・。


修復前のシャーシー内部の様子。綺麗に部品が配置されているのがわかる。シャーシーはアルミ製なので、組み立て品らしい。


マジックアイの輝度はご覧のとおり。明るい室内で何とか見える程度である。新品のマジックアイは現在大変貴重で高価ですので、このままとする。


修復が完了したシャーシー内部の様子。全ての抵抗とコンデンサーを交換しました。ボロボロになっていて危険な一部の配線も交換しました。ボリュームもガリが怪しかったので、両方とも交換してあります。フィールドダイナミックスピーカーに付いている出力トランスは、例のごとく1次側が断線。大きく特殊な物なので、切れていないタップを利用して、インピーダンスを合わせた。


キャビネットはスーパーオレンジという洗剤で磨き、最後に万能ワックスクリーナーで仕上げました。かなり汚れが落ちた様です。シャーシーを取り付けて、とりあえずラジオとしては動作が確認できました。キットのせいかシャーシーの配置が悪く、ダイアル目盛り板がかなり後ろ側になっており、その割にツマミが飛び出ていたりと、あまり良い出来ではない。一応音が出る様になりましたが、また細かな調整は実施してません。ツマミは左側から、電源スイッチ兼音質調整・レコードとラジオ切り替え・ラジオ同調・ラジオ音量調整である。


モーター回路には、直列にコンデンサーらしき部品が入っている。試しに通電してみると、回転が異常に遅い。コンデンサーを通さずに直接モーターに通電すると、今度はモーター回転が少し速すぎるが、回転調整レバーでの調整範囲内であるので、危険なコンデンサーをバイパスして配線することにした。


ターンテーブル上部に、SPECILALの文字が見られるが、メーカー名では無さそうだ。


修復が完了したところ。ターンテーブル部分は、モーターやギアに注油して、回転もスムーズになった。久々に78回転のSPレコードを出してきて試聴した。骨董市で買ってきた「愛国行進曲」である。戦時下の音楽であろうか?この蓄音器で聞くと、趣がある。各種調整も実施し、問題無さそうなので完了とする。形見の品、大切に末永くお使いください!

以上、修復作業時間は約18時間、交換部品代は約5,500円でした。

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