CROSLEY「Model 11」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 自作ラジオとその他のラジオその1 > CROSLEY「Model 11」修復記

修理を依頼された、CROSLEYの「Model 11」 の修復をして見ました。


修復前の様子。古き良き時代のアメリカを象徴する様な、デザインである。メタル管とGT管混成使用のトランスレスラジオである。現状では動作しないらしい。使用真空管は12SA7(周波数変換)、12SK7(中間周波数増幅)、12SQ7−GT(検波&低周波増幅)、50L6−GT(電力増幅)、35Z5−GT(整流)と、GT管トランスレスラジオの標準構成である。


修復前の内部様子。ループアンテナが見られる。裏蓋が欠品である。キャビネットの下部も割れが見られる。


修復前のシャーシー上部の様子。埃で結構汚れている!スピーカーはフィールドダイナミックスピーカーである。


修復前のシャーシー内部の様子。ペーパーコンデンサーが1個破裂している。ケミコンはブロック型ではなく、チューブラー型が付いている。アメリカのラジオらしく、恐ろしい事にヒューズが付いていないが、火や煙を噴くような故障は起きなかったらしい。スワンベースのパイロットランプが球切れである。メーカー製にしては、半田付けが下手くそで、半田がてんこ盛りになっている。内部の配線コードが、日本の戦前のラジオの様に、ビニールコードではなく布巻きのコードなんで、絶縁不良が不安である。


修復が完了したシャーシー内部の様子。ペーパーコンデンサーとケミコンを交換しました。安全の為に、ヒューズも新たに取り付けました。絶縁不良の恐れがある危険な布巻き線は、安全の為にB電源とヒーターの配線をすべて交換しましたので安心です。


修復が完了したところ。テストして問題なさそうなので完了とする。電源電圧範囲は120〜130Vと記載されているが、国内の100Vでは周波数変換管のエミッションが弱いのか、局部発振が停止して受信できない。110Vでは不安定ながら何とか受信できる。120Vでは安定して受信可能である。やはり海外のラジオは正規の電圧で動作させなくてはならない。僕はトランスレスラジオには、感電防止とノイズ防止の為にノイズフィルター付き絶縁トランスを用い、海外製のラジオは120Vに昇圧して使用している。古き良き時代のアメリカ製ラジオ、大切にお使いください。

このラジオの修理依頼者の方のブログはこちらです。併せてごらんください。

以上、修復作業時間は約10時間でした。

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