三洋「FM−300」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランスレススーパーラジオその1 > 三洋「FM−300」修復記

修理を依頼された、三洋電機(SANYO) の「FM-300」の修復をして見ました。


修復前。一応各バンド共動作する。安全に毎日実用機として末永く使いたいとの依頼主の依頼により、劣化部品の交換と点検を依頼された。真空管ラジオは鳴るからと言って使い続けずに点検をする事は、安全上大変重要な事です。簡単な清掃がしてある様だ。内部はそんなに汚れていないが、完全分解を実施して、プラスチックケースは水洗いを実施する事にする。これだけでも見違える様にきれいになるであろう。パイロットランプが点灯しないので、新品のネオン管に交換したら点灯する様になった。ただネオン管なので豆球とは違って暗いので、少しわびしい。使用真空管は17EW8(FM用高周波増幅&周波数変換)、12BA6(FM用中間周波数増幅)、12BE6(FM&AM用周波数変換)、12AV6(低周波増幅)、30A5(電力増幅)と、FMレス機の標準的な構成である。自分の持っているトリオのFM機より、感度が良く音も良い気がする。


シャーシー内部の様子。内部を圧縮エアーで埃を吹き飛ばし、清掃を実施した。安全の為、1次側のオイルコンデンサーとB電源のペーパーコンデンサーを交換した。またこの頃の半導体は壊れやすい為、セレン整流器と、検波用ダイオードなどの半導体も念のため交換を実施した。他の部品は一応チェックして、そのまま使えそうなので、そのままとする。チューニング指示針は、色が剥げてきたので、赤で再塗装を実施した。


シャーシー上部も清掃を実施。ボリュウムのガリを防止するため、接点復活剤にて清掃、ダイアル可動部分などは潤滑剤を塗布して動きが良くなった。電源コードとヒューズも交換を実施した。FM回路はユニット化しており、シールドされている構造となっている。バリコンはAM系とFM系の2個が同時に回る仕組みになっている為、ダイアル糸掛けが複雑で、糸掛け図も無いので、切れたらわからなくなってしまいそうである。


今後のメンテナンスの為、スピーカーなどの線が本体から取り外し易い様に、コネクターを取り付けた。ネオンパイロットランプも交換した。メーカー製ラジオにしては珍しく回路図が貼っていない。


プラスチックキャビネットは水洗いを実施して、40年間の埃を取ってすっきり綺麗になった。


組み立てを実施して、調整後1時間程テストを実施した。問題が無さそうなので完了とする。調子も大変良い。パイロットランプはネオン管なんで暗いのが寂しい。保守用の真空管も一式用意しました。これで安心して毎日ラジオを聞くことができます。是非とも大切に使ってください。


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