東京芝浦電気「611A」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその2 > 東京芝浦電気「611A」修復記

横浜市のK.T様から寄贈された、東京芝浦電気(マツダ)の「611A」 の修復をして見ました。


修復前の様子。キャビネットは年代相応の汚れと傷がある。内部には昭和28年1月と、鉛筆で記載がある。入手した年月であろう。残念ながら裏蓋が欠品である。部品取りにと頂いたラジオであるが、キャビネットのしっかりしているラジオは分解するのには忍びないので、修復することにする。


修復前の内部の様子。電源コードが最近交換された様だ。また2段目のIFTも交換されて、スター製が付いている。真空管は左からKX−80(整流)、UZ−42(電力増幅)、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)と、順番が変であるし、6W−C5にもシールドケースが付いている。普通なら、シールドを付けるのなら、6Z-DH3Aの方が良いと思うのだが・・・。またマジックアイのEZ−6E5が、ソケットと金具毎無い。真空管配置図には記載が有るが、跡形も無いのは、修理(改造)の時に取られたとしては変である。スピーカーは、フィールドダイナミック型である。コイルの断線は無いが、出力トランスの1次側が例のごとく断線している。


内部は電源スイッチと、トーン切り替えと、ラジオ&PU切り替え兼用のロータリーSWが、普通のボリュームに交換され、PU機能が殺されている。また空中配線も多く、修理は下手である。ロータリーSWが壊れて、トーンは通常のボリュームで可変する様に修理(改造)された様だ。PU端子へ行くシールド線も途中で切られている。


なんと、ダイアル指針が、銅板で器用に自作されているが、動きがイマイチである。ダイアル糸が、黄色の建築工事用の糸に変わっており、多少滑る様だ。ずいぶん器用な人が、ここ10年以内に修理&改造した様子だ。ただ内部のコンデンサーなどは当時のままであるから、安全に使用するためにはレストアが必要であろう。


キャビネットのレストアが完了した所。サランネットを張り替え、キャビネットは万能ワックスクリーナーで磨き、飾り金具は再塗装しました。かなり綺麗になりました!ダイアルの中央の黒い丸は、マジックアイの穴ですが、黒い紙で塞がれています。よく見るとマジックアイの配線が根本から切られている様です。修理の時に外された様ですが、意図がわかりません?輝度が落ちて暗くなったのなら、わざわざソケットの配線まで切らなくてもいいと思うのですが・・・?部品取りとしてソケットが取られたのでしょうかねぇ?


電気配線の修復がほぼ完成したところ。すべてのコンデンサーと抵抗を交換し、断線している出力トランスと、2個のボリュームも交換しました。マジックアイのソケットも復活して固定金具も取り付けました。ここで困った問題が発生しました。出力トランスの取り付け穴が合わないので、穴を開けたところ、アンテナコイルを傷つけてしまいました。 (>_<) 結局コイルは部品取り用に落札した別のシャーシーから取り外して流用しました。また、フィールドダイナミックSP使用なんでB巻線の電圧が高めで、整流管に80を使ったままだと他の真空管が起動するまでB電圧が高圧になりすぎるので、他の真空管を痛めない様に整流管は80Kに交換しました。これで無負荷時間が無くなり安心です!


修復が完了したところ。マジックアイも新たに取り付けました。大きな音で調子よく鳴ってくれます。欠品だった裏蓋も作製しました。大切に使わさせて頂きます。僕の所に譲って頂きまして、本当にありがとうございました!!!


その後、このラジオのパンフレットを、オークションで見つけました。

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