Northern Electric「Model 5002-2」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 自作ラジオとその他のラジオその1 > Northern Electric「Model 5002-2」修復記

修理を依頼された、Northern Electricの「Model 5002-2」 の修復をして見ました。


修復前の様子。カナダ製のGT管トランスレスラジオである。外国製は初めての挑戦である。使用真空管は12SA7−GT(周波数変換)、12SK7−GT(中間周波数増幅)、12SQ7−GT(検波&低周波増幅)、35L6−GT(電力増幅)、35Z5−GT(整流)と、GT管トランスレスのオーソドックスな球構成であるが、12SQ7−GTの代わりに12SR7(メタル管)が刺さっている。銘板ではAC220V〜240V仕様の様であるが、内部回路を見ると余分なヒーター電圧のドロップ回路が無い事から、100Vで動いたらしい・・・?このモデルのラジオは、電源電圧など、いろいろなバリエーションが有ったらしい!?詳細はこちら。銘板どおりに220Vに挿していたら大変だった・・・。幸いにも、真空管のヒーター切れは無しでした。僕の所には、GT管や外国製のラジオ部品の在庫が全然無いので、ちょっと不安である。


修復前のシャーシー上部の様子。タバコのヤニでかなり汚れている。(  -_-) 内部までこんなに汚れているとは、以前の持ち主jは、かなりのヘビースモーカーだったのであろうか?裏蓋の内側に、何かのスイッチが追加されているが、配線が切られており、なんのスイッチか不明である。


修復前の内部の様子。欠品や改造の跡は無さそうである。内部は国産ラジオとあまり変わらないが、何とこのラジオ、ヒューズが付いていない。外国製のラジオはヒューズが付いていない物が多かったらしい。整流管のヒーターがヒューズの代わりとなって切れたらしい。何とももったいない恐ろしい話である。(^ ^ ;) 当然、ヒューズは付ける事にする。電源コードが根本から切断されている。内部は抵抗が派手に燃えた跡がある。やはり・・・。ああ、恐ろしい・・・!試しにケミコンテスターにてケミコンの漏洩電流を調べてみると、流れる流れる・・・。ああ、何とした事か・・・!!!よく破裂しなかったと思います。ケミコンに後付けでパラにチューブラーの電解コンデンサーが付いていることから推測するに、ケミコンの劣化で漏洩電流が増し、ヒーター配線の絶縁劣化も併せてハム音が増え、耳障りになったのでパラに電解コンデンサーを追加したが、根本解決にならずに漏洩電流が増え続け、ついに抵抗が火を噴き、驚いた持ち主が電源コードを切断したのであろう・・・。なんとわかりやすい推理であろうか?(^ ^ ;)


プラスチックキャビネットは水洗いし、タバコのヤニも落ちてすっきり綺麗になりました。ただ年代相応の擦り傷はあります。


タバコのヤニで真っ黄色だったシャーシーも、清掃により、だいぶ綺麗にすっきりしました。(^ ^ ;) さ〜て、綺麗になったところで内部の修復に取りかかりましょう。 ( ~_~ ;)


修復が完成したシャーシー内部の様子。すべてのペーパーコンデンサー&電解コンデンサーを交換し、火を噴いた抵抗も交換しました。ボリュームの電源スイッチが接触不良なので分解し、接点復活剤にて清掃し、良好になりました。ヒューズは中継用のホルダーを取り付けました。電源を入れてチェックした所、強烈なハム音。カソードとヒーターの絶縁不良かと思い原因を調べると、ヒーターの配線の絶縁が異常に低下している。配線を交換したらハム音は出なくなったが、まだ鳴らない。思ったより状態が悪い。( -_-) 真空管の不良かどうか試すGT管の在庫が無いため、それぞれ対応するmT管への変換ソケットまで作ってテストした。原因はIFTの不良だった。実は最初にIFTの不良を予測して、交換してみたが鳴らず。どうもこの交換したIFTも不良だったらしい・・・。これで大変苦労する事になった・・・。( -_-)  久々に修復に大変苦労したラジオだった!


修復が完成した所。レス機には珍しく、パイロットランプがダイアル照明として使われているが、レス機はパイロットランプが暗いので寂しいのである。各種調整後、1時間ほどテストした所問題がなさそうなので完了とする。是非とも大切にお使いください!

以上、修復作業時間は16時間程度でした。

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