真空管テレビの修理について


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最近のレトロブームの影響で、古い真空管テレビを入手して修理しようと計画している方も多いと思います。ここでは簡単にヴィンテージ真空管テレビの修理方法を述べさせていただきます。


真空管テレビは映るといっても、そのままの状態で使っては大変危険です!!!安全に使用する為には、点検と適切な部品交換を強くお勧めします。


1.真空管テレビをオークションなどで入手したら、すぐに通電してテストしたくなるのが普通かと思われますが、その前に一言。前にも書きましたが、真空管テレビはよく火や煙を噴きます。いきなり通電は大変危険です! ( -_-) 前の持ち主が通電して、映るといった物でも安全に使用するには注意が必要です。通電の前に念入りにチェックをしましょう!特に電源コードが切られているテレビは、以前に事故を起こした確率が非常に高いですので注意が必要です。また、テレビを末永く安全に使用したい場合は、それなりに知識のある方に相談しましょう。素人が訳も解らずに勝手に修理すると、かえって危険な場合があります・・・。真空管テレビは、部品の耐用年数は、とっくに過ぎています。安全第一です。最悪は火を噴いて、火災の原因になります!ご注意ください!

2.まず簡単な清掃をしましょう。コンプレッサーがあれば圧縮空気で埃をとばせるので簡単なのですが、普通は古い歯ブラシなどで埃を取りましょう。真空管はきれいに洗って良く乾かして足の曲がりを直して、接触不良をなくす様に軽くヤスリで磨きましょう。品番が消える場合がありますので、特に注意し、間違って挿す事の無いようにしましょう!また頑固な汚れには、ハンディースチームジェットクリーナーが有効です。木製キャビネットはホームセンターで売っている「万能ワックスクリーナー」で、シャーシーやプラスチック部品等は「スーパーオレンジ」で清掃するのがお勧めです。

3.必ずシャーシーを取り出して、シャーシー内部の様子を観察しましょう。シャーシーを取り出す時は、ブラウン管などを割らない様に注意が必要です。焦げた部品、膨れたコンデンサーなどは注意。またAC電源コードも点検しましょう。ヒューズも定格の物が付いていますか?通常は2A程度で十分だと思います。昔のヒューズは電流が書いていない物もありますので、交換した方が良いですね。いざと言う時に切れないのでは役に立ちませんからね。電子部品の洗浄には、呉工業社製のエレクトロニッククリーナーを用います。

4.ペーパーコンデンサーは必ず全て交換、電解コンデンサーは出来るだけ交換した方が精神衛生上好ましいです。ケミコンテスターにて、ケミコンの漏れ電流を測定してチェックします。漏れ電流が0.5mA以上であれば、破裂の危険性があって危険です。ケミコンテスターが無い場合は、最低外観を見てチェックします。足の根本で電解液が染み出てきている様な物や、外観が膨れてきている物などはすべて交換した方が良いでしょう。ついでに抵抗も電力系と高抵抗は測定して交換しましょう。高圧系のフライバックトランス、高圧整流管の1X2B近辺は、数千Vの高圧が掛かりますので、よく清掃し、黙視により異常が無いか確認を念入りに!点検後、保護カバーは忘れずに装着してください!また、ブラウン管のアクアダック接地線が外れると恐ろしいことになりますので注意しましょう!

5.ペーパーコンデンサーや、オイルコンデンサーなどはフィルムコンデンサーに、抵抗は金属皮膜抵抗に交換しますが、耐圧や電力には、十分余裕を持った物を使うと安心です。僕は安全のために、抵抗は電力に2〜4倍の余裕を持たせた物を、フィルムコンデンサーは耐圧1250Vの物を、電解コンデンサーやセラミックコンデンサーは耐圧500Vの物を贅沢に使います。どうせ金額はあまり変わらないですからね。耐圧1250Vが入手出来ない場合は、630Vでも十分です。電源の1次側のコンデンサーは、AC規格のコンデンサーが必要です。現在の抵抗は小型になってますので、昔の抵抗と外観がほぼ同じ大きさの物を使う事で、電力で2〜4倍の余裕を持たせる事が出来ます。最低でも1W型の抵抗を使用します。電力用のドロップ抵抗などは5W型を使用すると安心です。(ただしPL法の関係で、100KΩ以上で1W以上の抵抗は、入手が困難です。)

6.安全を確認したら、いよいよ通電試験を実施します。この時は消費電力をモニターしながらすると、安心です。状態のいいテレビなら、10秒程度で音声が、20秒程度で画像が出てくるハズです。ここで正常に受信しない場合は、現象によって故障箇所の推測をします。音も画像も出ない場合は、電源系を、ザーという音と、白い画面のみの場合は、チューナー系を、音は出るが画像が全くでないのは、高圧電源系を、横1本の線のみの画像の場合は、垂直偏向回路系を疑ってみましょう。内部の真空管は大丈夫ですか?頭(ゲッター)が銀色ではなく白い真空管は、割れて空気が入っています。交換しましょう!

7.真空管テレビに使用される真空管は、ラジオ用と比べ種類が多いですが、ラジオ用と比べ人気が無いので安く大量に入手できる場合がありますが、テレビ用の真空管は同じ品種でも特性がシビアである場合が多いです。中古品はあまり役に立たないです。

8.正常に受信しても、たぶん機械式のチャンネルや、各種調整ボリュームは接触不良によるガリがあると思います。接点復活剤を塗ったり、機械式チャンネルは分解して接点を磨けば大分良くなります。この時チャンネル内部のコイル類に手を触れないようにしましょう!

9.地方の方で、パーツの入手がお困りの方は、電子部品専門のコンビニ、マルツパーツ館WEB SHOPが便利でしょう!真空管や特殊な部品は、国産アンティークラジオ専門店の「ばざーら」でほとんどの部品が入手出来ます。僕の紹介であると店長に告げると、安くサービスしてくれます!

<教訓> 古いテレビの故障は1箇所と思わない事。特にコンデンサーは信用しない事。改造や修理がされた跡が見られるテレビは、念入りにチェックしましょう!古いテレビは、本当に思いがけない所が故障している場合も多いです。


<注 意>
 
本ページは、素人修理をお薦めするものではありません。
古いテレビの修理はご自分の責任において実施してください。真空管テレビはブラウン管用に数千Vの高圧が掛かります。感電事故には十分注意してください。古いコンデンサーは破裂(爆発)する場合があります。特に注意してください!下手な素人修理は火災や破裂などの重大事故の原因になります。ご自分で修理される場合は、リスクを十分ご理解して実施してください。当方ではご自分で修理した結果に関しては、一切責任を持てません。あしからずご了承ください。自信の無い場合は、それなりに知識のある方にお願いしましょう!安全第一です!(当方では真空管テレビの修理依頼は承っておりません。ご了承お願いします)

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誠文堂新光社から2007年11月中旬に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!


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