三菱電機「16T−730」修復記


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初めて挑戦する真空管テレビ、三菱電機(MITSUBISHI)の「16T−370」 の修復をして見ました。


修復前の様子。キャビネットの状態も良い。一応映るらしい・・・。真空管ラジオに比べるとどっしり重たい。昔のテレビの貫禄がある。使用真空管は、2GK5(高周波増幅)、5M−HH3(周波数混合&局部発振)、3BZ6(第一中間周波数増幅)、3BZ6(第二中間周波数増幅)、5U8(第三中間周波数増幅&画像検波&AGC)、6AW8A(画像増幅&同期分離)、3AU6(音声中間周波数増幅)、6BN8(FM検波&低周波増幅)、4M−P12(音声出力)、6CG7(水平発振)、12G−B7(水平偏向出力)、3AL5(AFC&位相検波)、12BH7A(同期信号増幅&垂直発振)、5AQ5(垂直偏向出力)、12R−K19(ダンパ)、1X2−B(高圧整流)、400CB4(画像表示、ブラウン管)である。


修復前の裏面の様子。裏蓋の破損も無く良好。


修復前の内部様子。汚れはそれほどではない。ラジオに比べると複雑でレストアのしがいがある・・・。


修復前のシャーシー内部の様子。ペーパーコンデンサー等信頼性の低い部品はフィルムコンデンサーに交換されてある。ある程度レストアが実施されている。下部には脚を取り付けられる様になっている。


危険なペーパーコンデンサー等は全て交換してあるので一応映るのであるが、各種調整ボリュームにガリがあったり、チャンネルも接触不良気味である。(通常はいきなり通電は危険です!念のため!)


機械式のチャンネルは、接触不良になりやすいので、分解して清掃が必要である。ボリュームにもガリがある。安心して使用する為には、ケミコンのテストも必要であろう。


このテレビはVHF12チャンネル仕様なので、UHF放送を視聴するのは、UHFコンバーターなる物を外付けする必要があります。これはUHF放送の電波をVHFの1チャンネル又は2チャンネルに変換する装置です。ご存じですか?これもオークションでやっと入手しました。といっても、アナログ放送が終了する2011年以降は、何の役にも立たなくなるのですが・・・。そういえばこのテレビもだった・・・!( -_-)


修復の為にシャーシーを取り出したところ。ずっしり重たく、ラジオとは大違いである。長年溜まった埃を取り払い、真空管は足の曲がりを専用の治具で補正し、接触不良のボリューム等は接点復活剤を塗布した。古くて危険な電源コードも交換した。


ブラウン管周りは静電気によって埃を吸引するので、念入りに清掃した。


キャビネットも万能ワックスクリーナーで清掃し、すっきり綺麗になった。


接触不良になりやすい機械式チャンネル切り替え部分は、接点を丁寧に磨き、接点復活剤を塗った。接点復活剤は元々はこのようなテレビのチャンネルの接触不良が多発したので、これを解消するために開発されたという事である。この接点部分は、わざわざシャーシーを取り出さなくても、キャビネットの一部分が取り外せて、接点のメインテナンスができる様に、工夫されていた。リモコンが無い時代、チャンネルを変えるのもいちいち席を立たなくてはならなかったのである。


修復が完了したところ。接触不良も解消されて、調子も良くなった。UHF放送を見るには、チャンネルを1チャンネルに合わせて、上のUHFコンバーターでチューニングするのである。現在はラックに入れて、居間のビンテージコーナーエリミネーターラジオと共に主役になっている。


その後、通電してしばらくすると、ご覧の様に横一線になり、画面が出なくなる故障が起きました。これは垂直偏向回路の不都合と思われます。早速調査をしました。垂直偏向回路ですから、12BH7A(同期信号増幅&垂直発振)と、5AQ5(垂直偏向出力)の2つの真空管が怪しいです。まず出力管の5AQ5を交換してみましたが、症状は変わらず。グリッドをオシロで確認して、信号が入っていなければ発振の停止が原因です。確認したところ垂直発振が停止している様です。早速12BH7Aを交換して見ました。この12BH7Aはよく見かける球なのですが、ヒーターカソードのショートが多いそうなので、注意が必要です。


そんな訳で12BH7Aを交換しました。交換後は、調子も良くなりました!古いTVは、真空管の保守も大変であるので、一式調達しました。テレビ用の真空管は特性にシビアなので、すべて新品で揃えたいところなんですが・・・。


その後、ハムフェアのジャンク市にて、こんなレトロな室内アンテナをたった100円で購入することが出来ました。真空管テレビにはぴったりですね!オークションでは何と17,000円にまでになりました!今度はテレビの4本脚も欲しいところです。何処かにないでしょうかね?


その後、テレビの脚も入手出来ました。いつもはオークションでも高価になるのですが、今回は同じ市内の方から、1,000円とリーズナブルにお譲り頂きました。アンテナと脚で、ずいぶんレトロな雰囲気になりましたね!映画「ALWAYS三丁目の夕日」のワン・シーンを思い出しますね!

以上、修復作業時間は約8時間程度でした。

その後、真空管テレビで地上波デジタル放送を視よう計画を実施中です。

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