ナショナル「UMー660」修復記その3


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその5 > ナショナル「UM−660」修復記その3

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「UMー660」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、6BE6(周波数変換)、6BA6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、6X4(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。一応鳴るという事で、骨董屋から格安で購入したが、自宅に持ち帰って中を見たら、豆球の配線がボロボロで危険と判断し、修理&点検にやって来た。


修復前の内部様子。若干の埃が見られる程度である。ナショナルラジオ特有の、豆球の配線がボロボロである。


よーく見るとスピーカーが交換されているみたいだ。スピーカーのインピーダンスは8Ωであるが、出力トランスの2次側は4Ωである。出力トランスの1次側は、今のところ導通はあるが、断線が心配だ。本当は正規のインピーダンスの新品に交換した方が、今後の安心の為にも望ましいが、出力トランス交換は高いので、今回依頼主の方の指示により、出来るだけ金額を抑えるとの事でしたので、このままとします。巻き線が断線して、音が出なくなったら交換する事にします。


修復前のシャーシー上部の様子。若干の汚れは見られるが、年代相応であろう。ダイアル糸が張り替えられているが、ダイアル指針が思いっきりずれている。一部豆球の配線を素人修理した様な跡が見られる。その張り替えられたダイアル糸であるが、糸掛け図が有るのに間違った順番で張り替えられており、途中で糸が引っかかって全範囲でチューニングが出来なかった。正規の順番で張り替え直してやっとスムーズにチューニング出来る様になった。


修復前のシャーシー内部の様子。事故や修理の跡は見られない。信頼性の低いペーパーコンデンサーもそのままの状態である。


マジックアイは、消灯用のスイッチが付いているので、ご覧の様に結構明るい。良かった、良かった・・・。調べて見るとその消灯用のスイッチが壊れており、OFFのままでONにならなかったみたいだ。調整してON/OFF出来る様になった。いろいろと細かな所に問題があるラジオだ。


外部入力で音楽を楽しみたいとの要望でしたので、入力トランスを製作しました。


修復が完了したシャーシー内部の様子。信頼性の低い全てのペーパーコンデンサーを交換しました。ボロボロだった豆球の配線と、堅くなって危険な電源コードも交換しました。ケミコンは漏洩電流も少なく(0.15mA)、このままとしました。


修復が完了したところ。ボリュームのガリもなく、調子よくガンガンなってくれる。PUに切り替えると外部入力で、音楽が楽しめます。普段はマジックアイを消灯し、輝度の低下を防止して、大切にお使いください。

以上、修復作業時間は約9時間、交換部品代は約4,700円でした。

このラジオの同機種は以前に修理の経験があります。詳しくはこちらこちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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