ナショナル「NS−200」修復記その2


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修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「NS−200」 の修復をして見ました。


修復前の様子。家にずいぶん前から有ったラジオだそうである。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−12F(整流)で、出力管と整流管が、アンバランスな感じなので、劣化していた整流管はKX−80BKに交換する事にする。このラジオは以前修理したRC-83BWと外観が酷似しているが・・・?


修復前の内部様子。埃が積もって少し汚い。電源コードも途中で切られて、別のコードが付けられている。キャビネットは年代相応なのか、かなり汚れが目立つ。


出力トランスが断線した様で、交換されているが、スピーカーも何故か日立製に交換されている。


修復前のシャーシー上部の様子。タバコのヤニなのか、ものすごい汚れである。これでもエアガンで埃を吹き飛ばしたのであるが・・・。ナショナルラジオ特有の豆球の配線がボロボロである。刺さっていた真空管は、5本のうち3本がナショナル以外の物があり、交換されたのであろう。という事は、かなり使い込まれたラジオなのであろうか?真空管を真空管試験機TV−7/Uで測定したところ、2本のオリジナルと見られるナショナル製の真空管は、いずれも規定値以下で、他は概ね良好であった。


修復前のシャーシー内部の様子。内部は、事故や修理の跡は見られない。元々は電源コードは袋打ちコードだったらしく、途中で切断されてビニールコードが付けられている。


正面のプラスチック製の窓は、取り外して水洗しさっぱりになりました。木製のキャビネットも洗剤で拭いてかなり汚れが落ちました。


よーく見るとダイアル糸が張り直されているが、使われていないプーリーが有ったりと、正規の順序で糸掛けがされていない様だ。


という訳で、ダイアル糸は正規の順番で張り直しました。これで動きもスムーズになりました。


シャーシーの汚れを落とし、ボロボロの豆球の配線と電源コードを交換しました。これから内部のコンデンサー類の交換に取りかかります。


電気回路の修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーと電解コンデンサーを交換しました。電力系の抵抗も交換しました。パイロットランプはご希望により、少し明るい球に交換しました。キャビネットの出力トランスも交換しました。動作確認すると、予想通りボリュームのガリが酷く、交換が必要である。PU切り替え用の3Pのトランスファースイッチ付きのボリュームは特注品なので高いです。PU切り替えが不要なら、安いのですが・・・。電源スイッチ兼用のトーンコントロールのボリュームは、2Pスイッチなのでそんなに高くないです。こちらも交換した方が安心です。PU切り替え機能とは、外部にレコードプレーヤーを接続してレコードを聴いたり、外部入力トランスを接続して、音楽などを楽しむ事が出来る機能です。依頼主の方から、PU機能不要との事でしたので、切り替え無しのボリュームに、トーンコントロールの方は普通の2Pスイッチ付きのボリュームに交換しました。これで安心して使用出来ます。


修復が完了したところ。柔らかな音で鳴ってくれる。各種試験後、問題無さそうなので完了とする。蘇った思い出のラジオ、大切に末永くお使いください。

以上修復作業時間は約10時間、交換部品代は約8,200円でした。

以前、この同型機種の修復経験があります。詳しくはこちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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