ナナオラ「6M−32」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその5 > ナナオラ「6M−32」修復記

修理を依頼された、七欧通信機(NANAOLA)の「6M−32」 の修復をして見ました。


修復前の様子。押し入れの奥から出てきたそうだ。幼少の頃、父親とラジオを聞いた思い出の品らしい。使用真空管は、6BE6(周波数変換)、6BD6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、5M−K9(整流)、6Z−E1(同調指示)である。真空管は全てマツダ製が付いていたが、どれもNOのマーク(ナナオラ?)が付いている。この度入手したTV−7/U真空管試験器で、早速試験してみたら、どれもかなり劣化している事が解った。前のNRI−70真空管試験器でテストしても、同様の傾向が見られた。かなり使い込まれたラジオらしい。


修復前の内部様子。埃がたくさん積もっている。通電確認したが、雑音しか聞こえなかったらしい。バリコンの防振用のゴムが溶けて沈下し、プーリーがシャーシーに当たってトルクが上がって、チューニングが出来ないみたいだ。


銘板も綺麗に残っている。1445台目の製造らしい・・・。


内部には回路図も見られる。


いつの時代にも、偽物が横行しているらしい・・・。


オリジナルと思われるマジックアイは、マジックアイテスターで確認したところ、ご覧の様に暗い。


修復前のシャーシー上部の様子。エアガンで埃を吹き飛ばし、少しは綺麗になりました。


修復前のシャーシー内部の様子。事故や修理の跡は見られない。


信頼性の低いペーパーコンデンサーは、絶縁不良で相当発熱し、パラフィンが溶け落ちている物もあり、危険な状態であった。修理&点検に来て、本当に良かったです。


電気回路の修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーを交換しました。ブロック型ケミコンの漏洩電流をケミコンテスターで計測したところ、流れる流れる・・・。大変危険な状態だったので、ケミコンも交換しました。これで安心して使用出来ます。シャーシー後ろにマジックアイの消灯と明暗を切り替えるスイッチを取り付けましたので、普段はマジックアイを消灯して、輝度の低下を防止して大切にお使いください。バリコンの防振ゴムも交換したので、ダイアル指針の動きもスムーズになりました。この後、可変電圧・交流&直流電源装置を用いて、動作確認を実施します。


劣化していた真空管をすべて新品に交換希望との事でしたので、少々高価ですが、新品箱入りの真空管を用意しました。


修復が完了したところ。全ての真空管が新品なんで、調子よくガンガンなってくれる。幼少の時の思い出のラジオ、大切にお使いください。

以上、修復作業時間は約10時間、交換部品代は約14,200円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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