テレビアン「形式不明」修復記その2


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその6 > テレビアン「形式不明」修復記その2

修理を依頼された、山中電機(テレビアン)の「形式不明」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、UY−58(高周波増幅)、UY−57(再生検波)、3Y−P1(電力増幅)、KX−12F(整流)であるが、元々は電力増幅はUY−47Bであった。キャビネットはタバコのヤニでかなり汚れている。下側のツマミは左から、電源スイッチ/再生調整/高周波増幅回路のゲイン調整である。


修復前の内部様子。シャーシーに錆が見られ、タバコのヤニで汚れ、年代相応であろうか?ラジオ本体にも電源スイッチが有るのに、何故か電源コードに中間スイッチが付いている。奇跡的にマグネチックスピーカーのコイルは導通があった。でもこれは使っているうちに断線の危険性が非常に高いので、巻き直す事にする。


キャビネットの裏蓋の裏側には、「ユ44」と記載があるが、何の意味だろう?


同じく「大平」とローマ字筆記体で記載があった。シャーシーには、漢字で「大平何とか」と読める名前の記載も見られた。元々の持ち主の方の名前であろう。


キャビネット内部には大日本電力の検査票が貼ってある。平事務所と有るので、福島県の旧平市(現いわき市)であろうか?昭和16年6月といえば、大戦の開戦の半年前で、微妙な時期である。


修復前のシャーシー上部の様子。思ったより錆が多く、状態が悪そうだ。


修復前のシャーシーを後ろ側から見た様子。錆びだらけって印象である。修復前に錆落としが大変そうである。


修復前のシャーシー内部の様子。修理や改造の跡は見られないと思ったが、電源回路にケミコンが1個追加されているみたいだ。内部はかなり汚い。さて、どこまで修復しようか?


マグネチックスピーカーはコーン紙の破れも無く良好である。これからコイルの巻き直しを実施する事にする。


キャビネットはヤニの汚れを落とし、サランネットを張り替えて綺麗になりました。


マグネチックスピーカーは、コイルの巻き直しが完了しました。


錆落としが完了したところ。かなり時間が掛かったが、これ以上は完全分解しなければ落としきれず。これから電気回路の修復に取りかかります。


電気回路の修復が完了したところ。全ての抵抗やコンデンサーを交換し、ほとんどの配線をやり直しました。これで安心して使用出来ます。


修復が完了したところ。ダイアル目盛りが逆で、時計方向へ回転すると周波数が下がる方向で、慣れるまで戸惑うかもしれない。また昔の放送周波数なんで、上限が低いので、全ての放送局が受信できないかもしれない。強電界地域の当地では、短いアンテナでもガンガン鳴ってくれる。真空管の状態も良さそうだったので、大切にお使いくださいね。

以上、修復作業時間は約15時間、交換部品代は約3,800円でした。

この同型のラジオは以前、修理の経験があります。詳しくはこちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!


匿名でも結構ですので、是非ともアンケートにご協力お願いします!また、ご意見ご感想はこちらまでお願いします。(こちらは匿名と携帯メールはご遠慮下さい!)

また、私のHP上で公開している写真、回路図、文章などの無断での2次使用はお断りします。一言メールにて断って頂ければ、一向にかまいません。私にラジオを修理依頼された方は、自由に使って頂いてかまいません。以上、よろしくお願いします。(以前、文章をそのまま雑誌に転記された事、HPで無断使用された事がありますので・・・。)

inserted by FC2 system