大洋「SUN ELIMIDYNE」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその6 > 大洋ラジオ商会「SUN ELIMIDYNE」修復記

修理を依頼された、大洋ラジオ商会(TAIYO ELECTRIC RADIO WORK)の「SUN ELIMIDYNE」 の修復をして見ました。


修復前の様子。ちょうど400番目の記念すべきラジオである。小樽市花園町という所の大洋ラジオ商会製のラジオである。通電確認は出来ているらしい。年代の割には、状態が良い。使用真空管は、UY−56(再生検波)、UX−26B(低周波増幅)、UX−26B(電力増幅)、KX−12F(整流)である。


修復前の内部様子。部品が整然として配置されている。低周波トランスは導通が有った。黒のビニールコードで配線されており、戦後にレストアされているらしい。電源コードはインレッド式で取り外せるが、かなり痛んでおり交換する事とする。


内部には手書きの真空管配置図が貼られている。「喫茶ろびん」のメモ紙に書かれており、前のオーナーだったのかもしれない。


銘板には、小樽市花園町との記載が見られる。キャビネットはタバコのヤニで全体的に黄色く汚れており、綺麗にするのに手間取りました。


立派なホーンスピーカーも付属している。こちらは線は付属していないが、コイルの導通もあり音も出た。


まな板シャーシーを取り出したところ。


シャーシーを後ろ側から見たところ。ここまでは普通であったが・・・。


まな板シャーシーをひっくり返してみると、あ〜らびっくり!やはり最近レストアされた様だ!綺麗に現在の部品で配線されている。ひょっとしてこのまま音が出るのかもしれない・・・?


裏側には1930.8.28の日付と、Hanazonocho Otaru, Taiyo Electric Co. By K.Shimazuと流暢な筆記体で製作者のサインが書かれていた。昭和5年製らしい。


インレッド式電源コードは新品の器具用コードで作り直しました。中間スイッチはパイロットランプ付きです。これで安心して通電確認が出来ます。


修復が完了したところ。回路の配線を順番に確認し、順次動作確認した。真空管UX−26Bの2本の劣化が激しく、音も小さく感度も悪いみたいだ。それでも90年以上の時を経たラジオが復活した。ツマミは左がメインの同調、中央が再生調整メイン、右が再生調整サブである。慣れないと調整が難しいかもです。大変貴重なラジオ、大切に末永くお使いください。

以上、修復作業時間は約8時間、交換部品代は約2,500円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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