スピード「形式不明」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその5 > スピード「形式不明」修復記

修理を依頼された、中野無線電気製作所(SPEED)の「形式不明」 の修復をして見ました。


修復前の様子。シャープの普及10号の箱に入っているが、中身は違うラジオである。使用真空管は、UZ−57(再生検波)、UY−56(低周波増幅)、UX−12A(電力増幅)、KX−12F(整流)と、戦前の並四ラジオのスタンダードであるが、57と56が欠品である。


ダイアル目盛り盤には、スピードと記載がある。セットメーカーではなく、部品メーカーであろう。下側にローマ字で小さく、中野無線電気製作所との文字が見られる。


入っていた箱は、シャープの普及10号である。


修復前の内部様子。銘板が付いておらず、形式は不明である。シャーシー部分がキャビネットの後ろ側にはみ出しており、裏蓋がしっかりはまらないのである。


おまけにマグネチックスピーカーの手前には、1:3の段間トランスが付いていた。これで音を大きくしようと思ったのか?1:3のトランスでは、真空管のグリッド入力の様な、ハイインピーダンスなら効果がありますが、トランスでは電力の増幅は出来ないので、ここに入れても音は大きくなりません!残念!!!このトランスが付いていたからなのか、マグネチックスピーカーのコイルは断線していなかった。


何故か真空管のソケットには、UZ-57、UY-47B、KX-80、UX-12Fとと目茶苦茶な名称が書かれている。こっちも訳がわからないのである!


修復前のシャーシー上部の様子。素人があり合わせの部品を集めて、製作したって感じであろう。パイロットランプの取り付け部分も、素人が無理矢理シャーシー加工して取り付けたって感じである。


修復前のシャーシー内部の様子。電源トランスが無理矢理取り付けられている。ヒーター巻き線は5Vが1個で、12Aと並列に、57と56を直列にして点火している。電流容量が心配である。パイロットランプが57と並列になっており、電圧が不均一となっているので、豆球を変えて、5Vで直接点灯させる様に修正した。全てを分解し、配線は全てやり直す事にする。


修復が完了したシャーシー内部の様子。全ての配線をやり直しました。部品類も交換できる物は全て交換しましたので、安心です。バリコンの羽がアンテナコイルとぶつかってしまうので、位置を調整しました。全く何だかなあである。左側の電源スイッチのつまみの軸が長すぎて格好悪かったので、切って右側の再生つまみと同じ長さにそろえました。いろいろと手間が掛かるラジオです!


修復が完了したところ。戦前の並四ラジオなんで、感度も悪くアンテナを伸ばさないと音も小さいです。戦前のラジオ、大切に末永くお使いください!

以上、交換部品代は約6,200円、修復作業時間は約15時間でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!


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