ソプラノ「エリミネーター」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその5 > ソプラノ(SORLANO)「エリミネーター」修復記

修理を依頼された、ソプラノ(SOPRANO)の「エリミネーター」 の修復をして見ました。


修復前の様子。立派なラッパ付きのレフレックスエリミネーターラジオである。使用真空管は、オリジナルではナス管のUX−226(高周波&低周波増幅)、(鉱石検波器)、UX−226(電力増幅)、KX−112A(整流)であるが、ナス管のUX−226の代わりに、ST管のUX−26Bが刺されている。


修復前の上部から見た内部の様子。典型的な戦前のエリミネーターラジオの作りである。左端が鉱石検波器である。これは正常であった。


SOPRANOのエンブレムとパイロットランプ。真ん中のツマミは再生調整である。ちなみに左側のツマミがメインのチューニングであり、右側のツマミはサブチューニングである。


ホーンスピーカーはAMPLION製である。


上から見た内部の様子。段間低周波トランスの一部配線が途切れていて、配線が追えない。回路は、このレフレックスエリミネーター回路と酷似しているので、これを参考に推測した。


後ろのパネルを外したところ。これでやっと修理に取りかかれる。内部は長年の埃が溜まっていて、エアガンで吹き飛ばしたが、とんでもない量だった。


電気回路の修復が完了したところ。断線していた2個の段間低周波トランスと、ペーパーコンデンサー等を交換しました。配線も全てやり直しています。電源のチョークコイルは断線していませんでしたので、このまま使用しました。通電チェックすると、3球レフレックス再生付き回路で、意外にも大きな音で鳴ってくれた。戦前のラジオなんで、受信周波数範囲は上限が1500KHz程度と、現代の受信機より低い様だ。


上部のカバーを取り付けたところ。裏蓋を取り付けて完成です。ダイアル糸が滑ってうまくチューニング出来ないので、軸に松ヤニを塗った。


ホーンスピーカーをひっくり返すとこんな感じです。導通がないので、コイルの巻き直しを実施します。


ホーンスピーカーを分解したところ。コイルが2個のボビンに巻かれているが、両方とも断線していた。この形状のコイルは巻線機で巻けないので、0.08mmのUEWを手巻きで巻き直します。これが結構手間と時間が掛かる作業です。(4時間程度)


修復が完了したところ。戦前の貴重なレフレックスエリミネーターのラッパラジオである。3球レフレックス回路なので感度も悪く発振もするし、決していい音ではありませんが、ラッパラジオ特有の貴重な音を、お楽しみください。


その後、依頼主の方から342番のラジオと並べた写真を送っていただきました。大切にお使いください。

以上、修復作業時間は約15時間、交換部品代は約4,700円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!


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