サン「ライジング受信機」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその6 > サン「ライジング受信機」修復記

修理を依頼された、サン電池製作所の「ライジング受信機」 の修復をして見ました。


修復前の様子。キャビネットの状態はよろしくない。使用真空管は、UY−57(再生検波)、UX−26B(低周波増幅)、UX−12A(電力増幅)、KX−12F(整流)と、戦前の並四スタンダードです。つまみは左側が再生調整、真ん中が電源スイッチ、右側が同調である。


修復前の内部様子。年代相応の汚れ方である。


ダイアル窓はかなり日に焼けて、黄色くなっている。


裏蓋には、ライジング真空管はライジング受信機で最もその性能が発揮されると記載してある。合資会社サン電池製作所(大阪)とは、聞いたことがないメーカーだ。見てみるとUX−26Bだけがライジング製で、他はすべて違うメーカー製が刺さっていた。不良になって交換されたのであろう。という事は、ライジング真空管の信頼性は・・・?ちなみにこのラジオの整流管が、ライジング製だった。


銘板はシャーシーではなく、電源トランスに取り付けられている。製造番号の14 8 7.12は昭和14年8月7日の12台目製造であろうか?


修復前のシャーシーの様子。状態はよろしくない。シャーシー固定の3本のネジのうち、2本が欠品している。


シャーシーは全体的に錆びている。錆落としも結構大変そうである。


修復前のシャーシー内部の様子。事故や修理や改造の痕跡は見当たらない、と思ったが・・・。結構、実装密度が高いのである。


ダイアル目盛板には、SUN DENCHI OSAKAと記載がある。サンが英語で、電池はローマ字・・・?


2個の赤色のケミコンは、戦後に追加された物であった。検印に28.3.7の文字が見える。


電気回路の修復が完了したところ。全ての抵抗とコンデンサーを交換しました。古くて危険な電源コードも袋打ちコードに交換しました。ヒューズもパイロットランプも交換しました。これで安心してラジオを使用出来ます。これからキャビネットの補修と、マグネチックスピーカーの巻き直しを実施します。


マグネチックスピーカーは、コーン紙の破れもなく、良好である。


修復が完了したところ。サランネットを張り替えて、印象が変わりました。バリコンの経年変化なのか、受信周波数とダイアル目盛りに若干のズレがある。戦前の懐かしい再生式の並四ラジオの音を、末永くお楽しみください。

以上、修復作業時間は約13時間、交換部品代は約4,200円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!


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