ナショナル「RC−83BW」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその7 > ナショナル「RC−83BW」修復記

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「RC−83BW」 の修復をして見ました。


修復前の様子。数年前にオークションで入手して使ってきたそうであるが、安全の為に点検にやってきた。このラジオは形式名称がずっと不明であったが、内部の回路図にRC-83BWと記載があり、やっと形式名が確認できた。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80BK(整流)である。真ん中のボリュームツマミだけが、オリジナルではない。


修復前の内部様子。電源コードが交換されているので、一度修理されたみたいだが、コンデンサーなどは当時のままらしい。出力トランスもナショナル製ではないので、断線して交換されたみたいだ。また真空管は、6D6と80BKも松下製ではないので、交換されたらしい。


修復前のシャーシー上部の様子。若干の汚れがある程度で、年代を考えると綺麗な方だ。ダイアル糸が一部細くなって切れそうなので、交換する事にする。


修復前のシャーシー内部の様子。電源コードは交換されている様だが、信頼性の低いペーパーコンデンサーなどは、そのままである。この頃の出力トランスは、巻き線の材質が悪く、使っていると半数以上が断線するので、新品に交換する事にする。B電圧が掛かる配線がボロボロだったり、結構危険な状態であった。真空管ラジオは鳴るといっても危険な状態が多いので、そのまま使わず、点検する事が重要です。


電気配線の修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーとケミコンを交換しました。ボロボロだった配線も交換しました。これで安心して使用出来ます。切れそうだったダイアル糸を張り替え、出力トランスも交換します。


ダイアル糸を張り替えました。よーく見ると、両側の音質とチューニングの軸は、ローレッド型なのに、真ん中の音量調整の軸は、ローレッド型ではない。音量調整のボリュームは交換されたみたいだ。オリジナルではないツマミは、ローレッド型が無理矢理差し込まれている。音量・音質調整の2つのボリュームはガリがあるらしいが、接点復活剤が塗布出来ないタイプなので、新品に交換する事にする。


2つのボリュームを交換したところ。PU切り替えは不要との事でしたので、高価な3P切り替えの特注品は使わず、スイッチ無しの普通のボリュームを使用しました。これで軸は、全てローレッド型となりました。修復前は10〜30分程度聞いていると、突然音が出なくなるという不都合があったらしいが、こちらで1時間程度テストしましたが、音が途切れる現象は起きていません。念のため、電力系の抵抗を2本交換しておきました。熱による接触不良防止の為に、全ての真空管の足を半田付けし直しました。


修復が完了したところ。1時間程度鳴らしてみたが、問題なさそうなので完了とする。真空管ラジオの柔らかな音を楽しんで、大切にお使いください。

以上、修復作業時間は約7時間、交換部品代は約6,600円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!


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