ナショナル「R−48」修復記その4


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその5 > 松下無線「R−48」修復記その4

修理を依頼された、松下無線(NATIONAL)の「R−48」の修復をして見ました。


修復前の様子。戦前の高一ラジオが戦後に5球スーパーに改造されたラジオが修理にやってきた。ハム音がすごいが、一応鳴るという事である。使用真空管は、3W−C5(周波数変換)、UY−24B(中間周波数増幅)、3Z−DH3A(検波&低周波増幅)、3Y−P1(電力増幅)、KX−12F(整流)である。戦前の2.5V管で改造されたスーパーラジオであるが、トランスのヒーター巻き線の電流値が過負荷となるので、長時間の使用にはトランスの発熱の関係から、無理をさせてはいけないのである。


修復前の内部様子。シャーシーにかなり錆が見られる。僕にはこんな状態のラジオを通電する勇気はない。


残念な事に、シャーシーが固定されておらず、ラジオを寝かせた状態で梱包して送られて来た結果、整流管のKX−12Fが割れてしまっていた。他の真空管はどれも貴重で高価な球であるが、12Fは比較的入手しやすい球なので、他の球が割れるより、割れたのが12Fで良かった。


内部には昭和11年中央電気(株)の試験票が張られていた。


修復前のシャーシー上部の様子。錆だらけで状態が悪い!


修復前のシャーシー内部の様子。意外と綺麗に改造されている。左側のスイッチ付きボリュームは、スイッチは電源であるが、ボリュームは配線されていなかった。


シャーシーは再塗装の為に完全分解しました。分解するのは簡単ですが、組み立てるのは大変です。


電源トランスと平滑用のチョークコイルが入った電源ユニットも、再塗装して綺麗になりました。銘板は錆びて文字が読み取れず、リベットも外れなかったので、一緒に黒く塗装してしまいました。


シャーシーは錆を落として再塗装し、綺麗になりました。内側も再塗装の予定です。(塗料の乾いた所と、まだ乾いていない部分で、光の関係から写真ではムラになって見えてしまってます。)


再塗装して組み立てたシャーシー上部の様子。バリコンは再塗装出来ないので、少しは錆びを落としました程度です。IFTのケースやシールドキャップも再塗装して、綺麗になりました。


組み立て前のシャーシー内部の様子。内部も再塗装して綺麗です。これから組み立てに掛かります。


配線が完了したシャーシー内部の様子。動作確認後、各種調整も実施し、感度良く鳴ってくれます。真空管も試験しましたが、全数良好でした。


錆びだらけだったマグネチックスピーカーも再塗装し、大変綺麗になりました。コイルに断線は無く、巻き直しは実施していませんが、この頃の巻き線は材質が悪く、使っているうちに電触にて必ず断線します。断線したら巻き直しが可能です。


修復が完了したところ。キャビネットは塗装の剥がれが目立った前面を塗装し、飾り金具も再塗装し、サランネットも張り替えて見違える程綺麗になりました。各種調整して、感度良く快調に鳴ってくれる。戦前の良い雰囲気のラジオ、大切にお使いください!

以上、交換部品代は約8,100円、修復作業時間は約15時間でした。
その後、このラジオは依頼主の方がオークションに出品し、なんと85,000円で落札されました。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!


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