日立製作所「PSG−555」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 自作ラジオとその他のラジオその4 > 日立製作所「PSG−555」修復記

修理を依頼された、日立製作所(HITACHI)の「PSG−555」 の修復をして見ました。


修復前の様子。昔の真空管テレビの様に、足が付いていて立派である。当時の定価は26,800円だそうである。使用真空管は12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、19A3(整流)、12Z-E8(同調指示)で、通常のマジックアイ付きトランスレスラジオと同じである。パイロットランプ点灯用に、小型電源オートトランスが付いているが、豆球は6.3Vではなく12Vである。このレス用のマジックアイ12Z−E8は大変貴重品で、秋葉原でも入手困難ですが、僕の所にはまだ在庫が有ります!ステレオ電蓄とは名ばかりで、ピックアップはステレオ対応だが、アンプに繋がっているのはLchのみで、2つのスピーカーが搭載されているが、アンプが1回路なんで当然モノラルである。現在なら偽装表示で訴えられそうであるが・・・。どうしてもステレオ再生したい場合に、オプションとしてアンプ付きスピーカーが別売で11,000円で販売されていて、Rchに繋げられる仕様だったらしい・・・。日立ニュース1959年11月号の6ページに記載があった。


修復前の内部様子。ものすごい量の埃が蓄積していた。エアガンで埃を吹き飛ばしましたが、最初の一吹きはもの凄かったです!


実は輸送中の事故があり、段ボール箱に大きな穴が開いており、本体も目盛り部分が破損していた。配達して頂いたドライバーさんにも確認されました。今まで輸送事故は3回目ですが、どんなに梱包をしっかりしても、これだけ側面にダメージが有ると防ぎきれません。この傷は、段ボール箱が当たった程度では付きません。鉄の棒など硬くて先の細い物にある程度の力で思いっきりぶつからないと、こんなに傷は付きません。これだけひどいと、故意に傷つけた可能性もあります。


輸送中の事故により、破損したダイアル目盛り部分。これは物理的に修復できませんし、代わりの物を用意することもできません。現在ヤマト運輸と補償交渉中です。荷扱いでは丁寧なヤマト運輸でも、たまにはこんな事故が有るのですね?


修復前のターンテーブル部分。ピックアップを含めて、大丈夫であろうか?


後ろの銘板には、日立ステレオ電蓄と記載があるが・・・。昭和35年当時も、電蓄という言葉が残っていたんですね!


ラジオとしてはあまり使われなかったのか、マジックアイの輝度はご覧のとおり良好であった。試験には、自作マジックアイテスターを使用します。


内部には、回路図も貼られていた。50Hzと60Hzの切り替えは、プーリーではなくモーターのタップで切り替えが可能の様だ。


破損したダイヤル目盛り板は洗浄後、割れた部分に破片を接着して修復しましたが、傷が大きく目立ちます。


修復前のシャーシー前面の様子。埃を吹き飛ばし洗浄しました。


修復前のシャーシー後部の様子。すごかった埃も無くなり、さっぱりしました。


修復前のシャーシー内部の様子。この頃になると、信頼性の低いペーパーコンデンサーは使われなくなり、全てオイルコンデンサーが使われている。これもあまり信頼性が良くないので、全て交換しますが・・・。


修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのオイルコンデンサーを交換しました。ブロック型ケミコンの漏洩電流を計測したところ、流れすぎで危険な為ケミコンも交換しました。電源コードも交換しました。これで安心して使用できます。次はターンテーブル部分の点検に取りかかります。


ターンテーブル部分は、手前がLChの音量調整と電源スイッチ、真ん中がRCH音量調整(オプション時)で、左右別々に音量調整ができる。またいちばん奥のピックアップ台を回転させる事で、ターンテーブルの回転数を若干調整出来ます。一応洗剤で拭きましたが、あまり綺麗になりませんでした。


レコードプレーヤー部分をチェックしているところ。最初は錆び付いていてうまく回転しませんでした。注油していろいろと調整してやっと回転しましたが、何かキュルキュル音がします。鳴らしているレコードは、フォーク・クルセイダーズの「帰ってきた酔っぱらい」です!解りますか?


動作確認時には、ご覧の様に破損は無かったですが・・・。


割れた目盛り部分は、明かりが灯ると一段と傷が目立ちます。非常に残念です!


修復が完了したところ。各種試験して問題無さそうなので完了とする。今回は輸送事故で大切な電蓄が傷ついて大変残念ですが、大切に末永くご使用ください。


その後、往路で輸送事故が有ったので厳重に梱包し直して返送したら、今度はターンテーブル部分にヒビが入って割れていて、回転しないとの報告が入った。往路でも復路でも輸送事故に遭うなんて、呪われているのであろうか?重量が13Kgもあるので、ある程度の高さから箱をど〜んと落とせば、この様な壊れ方になると予想されます。こちらは、はこBOON(ヤマト運輸委託)と、再度補償交渉中であります。全くなんだかな〜ぁ?ヤマト運輸の埼玉県の営業所は、手荒なんでしょうか?!割れた部分を接着剤で貼り付けて、回転はする様になったそうですが、それにしてもこれではひどすぎます!

以上、交換部品代は約1,900円、修復作業時間は約8時間でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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