「メロダイン」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその7 > 「メロダイン」修復記

修理を依頼された、メロダイン(MELODYNE)の「形式不明」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−12F(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。あまり聞いたことがないメーカー名であるが、終戦直後のラジオブームの時にたくさん出てきたキットメーカーであろう。依頼主の方がキャビネットを再塗装して、大変綺麗な状態である。戦後直後の混乱期のキットで、真空管の調達もままならない時期で仕方が無いのかもしれないが、出力管にUZ−42を使う場合は、整流管はKX−80BK(80HK)を使わないと、定格オーバーになってしまう。このまま整流管にKX−12Fを使うなら、出力管は6Z−P1を使った方が負担が掛からないのであるが・・・。


修復前の内部様子。シャーシーには多少錆が見られるが、年代相応であろう。


オークションで入手時には、こんな朽ち果てた状態であったそうだ。


マジックアイの輝度は、マジックアイテスターで試験したが、ご覧の通りかなり明るい。他の真空管も試験機でチェックしたが、概ね良好であった。このラジオは組み立てられた後、あまり使われなかったみたいだ。


修復前のシャーシー内部の様子。一部配線は依頼主の方が交換しているが、危険なペーパーコンデンサー等はそのままである。僕はこの状態で通電試験する勇気はない。


シャーシー後ろにラジオとPU(電蓄)の切り替えスイッチが付いているのに、真ん中の音量調整ボリュームには、3Pのスイッチ付きが使われているが、スイッチ部分は配線されていない。いかにも部品を集めたキットらしい。ちなみに左側のツマミが電源スイッチである。音量調整の3PのスイッチをPU切り替えに、この後ろのスイッチをマジックアイ消灯用のスイッチにすれば、スマートなのに・・・。


修復が完了したシャーシー内部の様子。安全の為に、全てのケミコンとペーパーコンデンサーを交換しました。一部配線を修正しました。


修復が完了したところ。柔らかな音で鳴ってくれる。各種試験後、問題なさそうなので完了とする。大切にお使いくださいね。

以上、修復作業時間は約6時間、交換部品代は約2,000円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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