「K.T.150」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその5 > 「K.T.150」修復記

修理を依頼された、高辻ラジオ製作所の「K.T.150」 の修復をして見ました。


修復前の様子。貴重な戦前のエリミネーターラジオである。ホーンのラッパには、普通のダイナミックスピーカーが仕込まれているらしい。


修復前の内部様子。使用真空管はUY−76(再生検波)、UX−12A(電力増幅)、KX−12F(整流)と不思議な構成であり、何故かトランスのヒーター電圧が全て6Vとなっている。76と12Aのヒーターとパイロットランプが並列接続されているが、実際に電圧を測定してみると4.5V程度まで低下している。電源トランスの電流容量に記載は無いが、容量不足かもしれない。


キャビネット後ろの銘板。TAKATSUJI RADIO MFG. COと記載がある。


謎の電源トランス。6VのA巻き線が2つと、150VのB巻き線が出ている。これは戦後に交換された物であろうか?どう見ても不自然である。


一部のコンデンサーは現代の物に交換されている。


ブロック型のケミコンも付いており、出力トランスも組み込まれている。ケミコンの漏洩電流は少なかったので、このまま使う事とした。


外部アンテナ端子の配線が、何故かアンテナコイル2次側のバリコンに直接繋がっている。正しいアンテナコイルの1次側に配線し直した。


高周波チョークや、低周波トランスなどには、幸いな事に断線が無かった。音が出なかった根本原因は、中央右の抵抗の断線だった。


同調ダイアルは、目盛りの数字がずれていたので、修正しました。


ツマミは左が再生調整、中央が同調、右が電源である。何故か0〜100までの目盛り板が付いている。


メインのバリコンは、羽のショートがあって、調整し直しました。


断線した不良の抵抗を交換しました。


修復が完了したところ。並三ラジオなんで、音も小さく感度も悪いです。貴重なラジオ、大切にお使いください。

以上、修復作業時間は約4時間、交換部品代は50円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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