ビクター「JR−101」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその6 > ビクター「JR−101」修復記

修理を依頼された、日本ビクター(VICTOR)の「JR−101」 の修復をして見ました。


修復前の様子。戦前の高周波二段増幅の高級ラジオである。このラジオはRCAから技術供与を受けて、日本ビクターが初めて純国産化して販売した物らしい。元々の型名はR−101で、日本仕様としてJを付けたらしい。このページに詳細が記載されていました。使用真空管は元々はUZ−58(高周波増幅)、UY−24B(高周波増幅)、UY−24B(再生検波)、UZ−2A5(電力増幅)、KX−80(整流)であるが、1本は24Bの互換球の57Sが付いていた。


修復前の内部様子。埃がすごかったらしいが、依頼主の方がある程度清掃してくれたらしい。


ダイアル目盛り板には、RCAとビクターの両方のロゴが記載されている。


シャーシーの銘板は、形式がR-101となっている。


おや、シャーシー上部に何故かスターのコイルが見える。嫌な予感が・・・。


内部には、昭和15年の名古屋逓信局の放送聴取許可証が貼ってある。昔はラジオを受信するのにも、受信料を払っていました。岡谷市の今井常男さんが、元々の持ち主だったらしい。


修復前のシャーシー内部の様子。ものすごい埃が溜まっており、エアガンで吹き飛ばしてやっと少し綺麗になりました。ここにもスターのコイルが見られる。内部を確認ところ、何故か電源トランスも交換され、高周波二段増幅の回路が、高周波一段増幅回路に改造されている。どおりでシャーシー上段の真空管3本のうち、トップグリッドにつながっているのが2本しかなく、真空管1本(57S)は配線されておらず、ヒーターだけ点火して、遊んでいる。何故こんな改造(改悪)をしたのであろうか?理由が理解出来ない!回路図などの資料や、段間のコイルが失われているため、残念ながらもう元の高周波二段増幅の回路に戻す事は出来ない。


内部には、真空管配置図が貼られているが、現在の惨状を見ると空しい・・・。


2段目の高周波増幅回路は、ソケットの配線はヒーターのみである。何という事か!依頼主の方と相談し、別のオークションで同型ラジオを入手して、中身を入れ替える方向で進んでいますので、こちらのシャーシーは手を付けない事とする。せっかく良い状態だったのに、非常に残念である。


シャーシー入れ替えの為に届いた同型機。一応受信確認したそうだ。


修復前の内部の様子。ものすごい埃がある。


修復前のシャーシー上部の様子。改造は、されていない様に見える。まず一安心である。


修復前のシャーシー上部の様子。これでもエアガンで埃を吹き飛ばした後である。汚れがものすごい!


修復前のシャーシー内部の様子。基本的にはオリジナルの様だが、一部抵抗がナショナル製に交換されている様だ。


ダイアル目盛り板は綺麗に残っている。


抵抗は色分けされているが、現在のカラーコードとは違い、抵抗値の記載も無いのでこのまま使用する事としました。


電気回路の修復が完了したシャーシー内部の様子。配線があちこちボロボロで、ほとんどの配線をやり直しました。コンデンサー類は全て交換しました。電源コードも袋打ちコードに交換しました。動作確認しても鳴らず!従来の配線をそのままやり直したのに、24Bのプレートがアースにつながっているあり得ない配線になっている。ここを取り外してめでたく解決!苦労しました・・・。


修復が完了したところ。高周波2段増幅なんで、ガンガン鳴ってくれる。戦前の高級ラジオ、末永くお楽しみください!


その後、依頼主の方からラジオの写真を送っていただきました。とても快調との事でした。隣に並んだラジオもマニアックですね!

以上、修復作業時間は約15時間、交換部品代は約3,300円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!


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