メーカー不詳「エリミネーター」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその5 > メーカー不詳「エリミネーター」修復記

修理を依頼された、メーカー不詳の「エリミネーター」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、 UY−56(再生検波)、UX−26B(低周波増幅)、UX−12A(電力増幅)、KX−12F(整流)である。レフレックス回路ではなく、一般的な再生検波回路である。元々はUY−227、UX−226、UX−112A、KX−112Bであろう。


修復前の内部様子。年代を考えると綺麗で状態も良さそうである。メーカー製ではないのか、メーカーや型番を示す銘板は見当たらない。


内部を取り出したところ。戦前のエリミネーターラジオに多い、板の上に部品を取り付けて、板の下か空中で配線するタイプである。元々は電池式だったのを、エリミネーター(交流式)に改造したのか、真ん中のヒーター電圧調整用のレオスタットには、配線されていない。シャーシーの板に無駄にあちこち穴が空いているのは、改造して部品の配置換えをしたからなのかもしれない。


シャーシー裏側の配線部分の様子。素人が組み立て?改造?したらしく、配線は上手ではない。今回、新しく追加するケミコンなどは上部から見えなくするために、この配線側に仕込むことにする。厚さに25mmの制限が有ることから、配置を工夫しなければならない。


重厚な作りの前面パネルだが、軸が滑ってバリコンが回転しなかったり、真ん中のレオスタットが配線されていなかったり、スピーカージャックにプラグが刺さらなかったりと、若干の調整が必要である。


修復が完了したシャーシー裏側の部分。ケミコンや抵抗は、上部から見えない様にここに配置しました。安全の為にヒューズも追加しました。


修復が完了したシャーシー上部の様子。断線していた2個の低周波トランスと、電源平滑用のチョークコイルを交換してあります。一部当時のままブロック型ペーパーコンデンサーが残ってますが、配線はされておりません。電波が強い環境だと、音が大きすぎるので、中央のレオスタットを復活し、初段のヒーター電圧を調整できる様にしました。


修復が完了したところ。パイロットランプがないので、ちょっと寂しい。ツマミは左が同調、中央は初段のヒーター電圧調整、右側は再生調整である。再生調整まで微動ダイアルなんで、ちょっと面倒くさい。貴重な戦前のエリミネーターラジオ、大切にお使いください!

以上交換部品代は約6,700円、修復作業時間は約10時間でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!


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