ナショナル「DX−370」修復記その2


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその5 > 「DX−370」修復記その2

修理を依頼された、ナショナル(NATIONAL)「DX−370」型 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は6BE6(周波数変換)、6BD6(中間周波数増幅)、6AT6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、6X4(整流)である。一見トランスレスラジオであるが、オートトランス式である。オークションの説明文では、通電はするが音が出なかったそうである。


修復前の内部様子。年代相応の汚れであろうか?


おや、シャーシー後ろ側に、不自然にシールド線が出ている。どうやら改造されているらしい。嫌な予感がする・・・。


修復前のシャーシー上部の様子。埃がすごく、エアガンで埃を吹き飛ばし、やっと綺麗になりました。


修復前のシャーシー内部の様子。こちらも埃がすごかった。信頼性の低いペーパーコンデンサーなどは、そのままである。不自然に伸びたシールド線は、外部にラジオの音を出力する為らしい。また、出力トランスの1次巻き線が断線しており、音が出なかった原因はこれが原因だろう。ST管時代の出力トランスは信頼性が低く、半分以上が断線しているが、この頃はかなり信頼性も向上し、断線は少なくなってきたが、それでも1〜2割は断線している。


プラスチックキャビネットは水で綺麗に洗って、すっきりしました。


サランネットは張り替えを実施して、大変綺麗になりました。次は電気回路の修復に取りかかります。


アンテナコイルは線が切れている様に見えるが、発振器とオシロで確認したところ、正常であった。じゃあ、この切れている線は何だったのだろう???


修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーを交換しました。断線していた出力トランスと、ガリが予想されるボリュームも交換してあります。ケミコンは漏洩電流を計測したら、使えるレベルだったので、このままとしました。ダイアル糸が滑るので、これから張り替えを実施して完成となります。


修復が完了したところ。劣化していた2本の真空管も新品に交換し、感度良く鳴ってくれる。ボリュームも交換したので、ガリも無く快調である。このラジオはチューニングの針と同時に、豆球も回転するので、同調ツマミを回すとダイアルの光も同時に回るのである。またオートトランス方式なので、トランスレスラジオと同様にシャーシー金属部分に触れると感電の恐れがあるので、注意してお使いください。お気に入りのラジオ、大切に末永くお使いくださいね!


その後、自宅で使っている写真を送って頂きました。大変喜んで頂き、光栄です。大切にお使いください。

以上、交換部品代は約6,900円、修復作業時管は約7時間でした。

この同型のラジオは、以前に修理の経験があります。詳しくはこちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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