ナショナル「BL−220」修復記2


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその6 > ナショナル「BL−220」修復記その2

修理を依頼された、松下電器(NATIONAL)の「BL−220」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、6Z−P1(電力増幅)、KX−80BK(整流)、6E5M(同調指示)と、マジックアイにST管のEZ−6E5ではなく、mT管の6E5Mを使用しているのが珍しい。以前修理した時は、出力管がUZ−42だったのであるが、このラジオには6Z−P1が付いていた。出力トランスの1次側巻き線が7KΩなんで、交換されたらしい。


修復前の内部様子。かなり汚れており、状態はあまりよろしくない。


キャビネットもご覧のとおり、塗装が剥がれかかっている。ご依頼主様の意向により、再塗装することとする。右の同調ツマミが紛失したのか、別の物が付いている。


何と電源トランスが交換されており、ヒューズが外付けで無理矢理付いている。(ヒューズが付いているだけマシであるが・・・。)電源トランスに何か不具合があったのだろうか・・・?内部が非常に心配である。


前面パネルもヒビが入っている。


修復前のシャーシー前面の様子。ナショナルラジオ特有の豆電球の配線がボロボロである。


修復前のシャーシー上部の様子。トランスが交換されている以外は改造や修理の跡はない。年代相応の汚れである。


修復前のシャーシー内部の様子。部品は全て当時のままである。トランスの穴付近に焦げた跡が有るので、トランスがレイヤーショートして発煙し、交換されたものと推測される。


マジックアイはターゲットもかなり焼けており、残念ながらご覧の様に辺りを真っ暗にしてやっと確認できる程度しか光らなかった。6E5Mは秋葉原でも入手困難であるが、僕の所には貴重な在庫があるので、交換する事とする。シャーシーの後ろ側にマジックアイ消灯用のスイッチを取り付けますので、普段は消灯して貴重なマジックアイの輝度低下を防止して使用してください。


修復が完成したシャーシー内部の様子。全てのコンデンサーと抵抗を交換しましたので安心です。出力トランスは1次側の巻き線が断線しており交換しました。バリコンの固定ゴムが溶けており、これも交換しチューニングもスムーズに動くようになりました。電源のロータリースイッチは、スイッチの接点不良と鉄球が外れてカチカチ感がなく、これも4mmの鉄球を挿入して修理しました。ヒューズホルダーも穴を開けて、きちんとシャーシーに取り付けました。何かと修理に手間と時間が掛かったラジオです。


キャビネットは再塗装の為に塗装を剥がし無垢の状態になりました。


前面のパネルは、分解して洗剤で洗浄して汚れを落としました。


修復が完了したところ。キャビネットも飾り金具も再塗装して綺麗になりました。どうぞ大切にお使いください。

このラジオは以前にも修理した経験があります。詳しくはこちら

以上、修復作業時間は約11時間、交換部品代は約9,200円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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