ナショナル「AM−390」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランスレススーパーラジオその7 > ナショナル「AM−390」修復記

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「AM−390」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、19A3(整流)、12Z−E8(同調指示)である。モノラルだが、スピーカーを2個搭載する先駆けとなった機種で、カップルという愛称がついている。


修復前の内部様子。依頼主の方がキャビネットを清掃したそうでかなり綺麗であるし、パイロットランプの配線やスピーカーの配線も交換したそうである。通電試験してみたが、ボリュームのガリがひどかったので、交換が必要である。


マジックアイの輝度はマジックアイテスターで確認したところ、ご覧のとおり。トランスレスラジオ用の新品のマジックアイ、12Z−E8は秋葉原でも入手出来ないが、僕の所にはまだ在庫があるのである。以前オークションに出品したところ、ものすごい高値が付いた超貴重品である。


外部入力用の入力トランスを作製しようと思ったが、普通ラジオに付属している3PのPU入力プラグが欠品で接続出来ない。このプラグはナショナルラジオ専用の特殊な形状で、普通はラジオに付属している物であるが、欠品していると入手は困難である。


修復前のシャーシー上部の様子。こちらも綺麗で助かります。


修復前のシャーシー内部の様子。信頼性の低いペーパーコンデンサーなどはそのまま残っている。


修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーを交換しました。マジックアイ消灯用のスイッチも取り付けました。ガリの酷かったボリュームも交換しました。ケミコンはケミコンテスターで漏洩電流を計測し、規定値(0.5mA)以下だったので、このままとしました。ケミコンの漏洩電流が大きいと、発熱してケミコンの爆発事故につながるので、注意してください。この頃のラジオのケミコンは、約半分程度が危険で交換が必要です。


外部入力用の入力トランスも作製しました。キャビネットの色に合わせて、黒色のケースにしてみました。このラジオはPU入力でも音量調整が出来るタイプなので、入力トランスにボリュームは必要無かったかもしれません。


修復が完了したところ。調子よくガンガン鳴ってくれる。マジックアイも新品なんでとても明るい。輝度の劣化を防ぐために、キャビネット後ろ側に消灯用のスイッチを取り付けましたので、普段は消灯してお使いください。大切につかってくださいね!

以上修復作業時間は約9時間、交換部品代は約8,900円でした。

以前、次の年に発売されたこの後継機種を修理した経験があります。詳しくはこちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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